コロナ禍の労働相談集計~若者・女性へのシフトカット被害の集中~

〇労働相談を集計しました

 2020年4月から2021年5月までの相談を集計し、新型コロナウイルスの影響により苦しむ労働者の姿が集計表から確認することができましたので、報告いたします。

 1年強の集計では集計可能な労働相談数は1643件でした。その内936件が飲食・宿泊サービス業です。ほとんどが飲食店勤務の労働者からの相談です。雇用形態の割合は正社員11.6%、パート・アルバイト67.1%、派遣9.6%、事業主2.8%、その他8.9%となりました。

 コロナの影響は2008年のリーマンショックの時とは異なり、派遣切りよりも飲食店や宿泊施設などで働くシフト制労働者を雇用は維持しながらも働かせずに賃金を支払わない、いわゆるシフトカットが顕著に表れたという点に特徴があります。


〇シフトカットしても休業補償を支払わない。休業支援金の重要性

 続いて、相談内容についてです。前述したようにコロナ禍ではシフト制労働者が苦しむ姿が目立ちました。406件の会社都合休業の相談者のうち301件が完全休業、344件が休業手当が支払われない、と相談していることから休業=休業補償をしないという経営側の判断が見られます。正社員であれば会社都合で休みにされた際に休業手当として1日当たりの平均賃金の6割を最低限保証しなければならいないという定めがありますが、シフト制労働者であれば、シフトが確定していない部分を「緊急事態宣言により客が入る見込みがないため、シフトを入れない」と会社都合で働かせなくても休業補償を支払う義務は現行の法制ではありません。そのため、多くの労働者がシフトカットによる大幅な収入減を訴えていました。

 このような相談には2020年4月からコロナの影響により収入が減った労働者に対して支給される休業支援金制度を案内し、支給方法などを示しましたが、一風堂やフジオフードのように申請に協力してくれないという相談が50件ほどありましたが、多くが交渉の結果申請に協力させるに至りました。また、5月に発表した「シフト制労働黒書」ではシフト制労働者に対して、シフト未確定分の賃金保障、最低シフト保障について言及し政策提案をしました。


〇未曾有の事態により相談が多く集まる

月ごとの相談件数を見ると、2020年4月146件、同年5月102件、2021年3月77件とこの3か月間に相談が集中していました。この数値を見るとやはり緊急事態宣言が出されている期間に相談が集中しています。3月時点では二回目の緊急事態宣言が発令され、さらに延長が二度され、時短営業などによるシフトカットが行われたこと、年明けからは休業支援金が中小企業から大企業まで適用範囲が拡大されたことによって、多くの労働者が申請方法を確認するために相談が寄せられました。

 休業支援金の相談には、自分は支援対象になるのかわからない、そもそも休業支援金を知らなかったという相談者も多数いました。また、多くの学生にもこの制度が普及していないようにも思えます。そのため、この制度を広く知ってもらえるような活動が重要だとも感じます。


〇コロナ禍、しわ寄せは若者と女性に

 次に、相談者個人に焦点を当て、考察していきます。首都圏青年ユニオンでは組合員の男女比では男性の方が多数を占めますが、集計の男女比を見ると男性243件に対して女性は291件となっています。年齢別に見ると一番相談件数が多いのは20代でした。日本社会では女性労働者の6割は非正規雇用であり、たとえ正社員で就職できたとしても長く勤続することは難しい状況にあります。また若者であれば、10年前よりもさらに正社員になることが難しい状況であり、望まずにフリーターになる人も多くいます。日本社会は海外の若者の就職状況と比べると大変、就職しやすいような構造になっているはずですが、ここ20年でその構造は壊れました。このような背景から「若い女性」は大変弱い立場に立たされ、そのしわ寄せが今回のコロナで現れました。



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