休業手当を払わない際コーポレーション

 5月25日に飲食店ユニオンが、アルバイトに休業補償を一切していない際コーポレーションについて記者会見しました。


●会社の休業の経緯

 飲食店ユニオンは、5月7日に、『紅虎餃子房』や『万豚記(ワンツーチー)』をはじめ300店舗以上の飲食店を経営する大企業、「際コーポレーション」に、団体交渉の申入れを行いました。

 際コーポレーションは、運営する店舗のアルバイト従業員が新型コロナウイルスに感染したことをきっかけに、3月25日からアルバイトをシフトに入れないという対応をしています。しかし、シフトに入れてもらえなくなってしまったアルバイト従業員には、休業補償が一切なされておりません。会社の労務担当は、従業員からの休業手当に関する問い合わせに対しては、「社員には休業手当を支払うが、アルバイトはシフト制だから支払わない」と答えています。また、休業手当は支払わない代わりに、有給休暇を消化するように指示が出ていました。休業補償を一切行わず、労働者が自主的にとるべき有給休暇を先に取得させるのは非常に不当といえます。


 こうした状況において、際コーポレーションで働く労働者複数人は、個別会社と交渉したり、労働基準監督署に相談したりと休業手当を求めてきましたが、解決に至らず、ユニオンに加入しました。

 最初の団体交渉申し入れは、5月7日に行いました。

 飲食店ユニオンからは主に、

・全アルバイトに対する全額の休業補償

・雇用調整助成金の活用

・会社の命令を受け消化した有給休暇の回復

を要求しています。


 この申入れでは、組合員の生活の逼迫した状況を理由に、1週間、5月14日までの回答を要求したのですが、それに対して、会社側は18日に期限を遅らせてほしいと主張してきたので、そこは回答を待ったのですが、18日に会社からあった電話連絡は、「緊急事態宣言が解除されたら団体交渉に応じる」というだけのものでした。これは、緊急事態宣言下では団交に応じないということです。この時点で、組合からの要求事項については無回答でした。このまま回答期限を延ばされ、収入ゼロが続くと生活していくのに非常に困るため、翌日の19日に、組合からの要求事項に対する回答を求めると、電話口で、飲食事業本部部長の内山さんという方が回答しました。


 5月19日の電話では、際コーポレーションは、飲食店ユニオンの要求を全面的に拒否しました。会社の回答を紹介しますと、

 まず、休業補償の要求に対しては、アルバイトには休業補償を行わないし、検討もしていない。と回答しました。理由は会社の経営状況が悪化しているからとのことです。

 次に、雇用調整助成金も活用することも考えていないと発言しました。国の制度が変化しているので、一番会社にとってお得な方法は何かと伺っている状態だと答えました。

 現在、厚労省も雇用調整助成金の活用を推進しており、緊急的な制度拡張が行われています。その結果、雇用保険未加入者についてもこの助成金は申請可能となっています。また、手続きが大幅簡略化されてきているうえに、現在だと、申請してから給付までの期間が短縮され、給付件数も増えています。厚労省が推進している雇用調整助成金を活用せず、従業員の生活保障の努力をしないのは不当です。

 さらに、休業補償は行わないが、有給休暇については残日数分使ってもらうことは可能だとの発言がありました。現在、休業当初の会社の指示に従って、4月に有給を利用した組合員がいるのですが、有給消化分の回復が団体交渉の論点になっているということで、有給分の賃金は支払われていないんですね。そのため、4月分は一切支払はなし、という状況になっており、組合員は無収入が続いています


 団体交渉の開催について、緊急事態宣言が解除されてからでないと日程調整できないと回答がありました。



●当事者のIさんのメッセージ


 本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。私は際コーポレーション株式会社に勤めている者で、今回の争議当事者です。よろしくお願いいたします。


 際コーポレーションは『万豚記(ワンツーチー)』や『紅虎餃子房』をはじめ、中華、洋食、和食を300店舗以上経営しています。


 自分は平成27年11月に入社し、最初は豊洲の洋食屋で社員として働き始めました。その後、アルバイトに転向し、現在は銀座のイタリアンでホールとバーテンダーを担当しております。仕事は週5日から6日勤務で、月で言うと24日は働いており、給与は30万円くらいでした。


 会社は店舗数が多いため、他の店にヘルプに行くことが多々ありました。丸の内、銀座、新橋、田町、六本木、池袋など、昼と夜で違う店舗で働くのは当たり前で、所属先にいるのは週1回程度でした。また、働き方改革が実施されるまでは、月に休みが3-4日、労働時間は250時間を超える状態でした。アルバイトになってからの方が勤務時間は長く、仕事内容も増えて、正社員以上に働いておりました。


 今年の2月末からコロナウイルスの影響が出だし、少しずつシフトが削減されていきました。3月に会社が経営しているある店舗のアルバイトがコロナに感染しました。それによって、感染者を出していない多くの店舗でもアルバイトたちがいきなり出勤停止になりました。3月25日に店舗に電話があり、その内容は、「他の店舗でアルバイトが感染したから、明日からアルバイトは出勤しなくてよい」というものでした。


 ほとんどのアルバイト達が、生活を維持するために、会社に休業手当を申請したところ、「休業手当は支払わない。有給休暇を使ってくれ」という対応でした。さらに、4月に緊急事態宣言が出されてからは、「社員には休業手当を支払うが、アルバイトはシフト制だから支払わない」の一点張りでした。


 また、会社は先に有給休暇を使うように指示しながら、いざ、給料日になると、申請した有給休暇分の賃金が支払われていない状態です。有給休暇は労働者が自主的に申請して取得するもので、給与補償を行わない代わりに有給休暇を消化させるのは違法行為です。しかも、消化させてお金を支払わないというのは悪質極まりないと言えます。


 休業手当は、労働基準法26条で会社は労働者に支払わなければならないとされております。そして4月から施行された『パートタイム・有期雇用労働法』では、正社員とパートやアルバイトの間であらゆる待遇について、不合理な格差を設けることを禁止しております。


 際コーポレーションは300店舗を経営しているため、常に人手不足で、それをカバーしてきたのは非正規雇用労働者たちでした。人員が足りなければ都合をつけて出勤し、会社や店舗を支えていたのは、シフト制のアルバイトスタッフです。今の会社の対応を見ると、今まで会社のために頑張ってきたことを否定されたように感じます。


 会社は国からの雇用調整助成金があるのだから、一刻も早く正社員と同じように、非正規労働者にも支払われることを望みます。


 本日は、お忙しい中お集まりいただいて誠にありがとうございました。

(Iさんメッセージ終わり)



●非正規差別をゆるさない


 これ以上無収入が続くと、際コーポレーションのアルバイト従業員は生活を維持していけません。早急な対応を求めるため、本日13時から、本社前での抗議行動と、交渉申入れを行いました。


  現在、飲食店ユニオンには、正社員は休業手当がもらえているが、パートやアルバイトはもらえない、という休業補償の「非正規差別」問題についての相談が多く寄せられています。飲食業は従業員の8割以上がパートやアルバイトなどの非正規雇用労働者ですが、非正規労働者によって支えられている企業が、コロナ下において真っ先に非正規を切り捨てるという事態は看過できません。飲食店ユニオンとしては、こうした非正規差別の問題の解決に、今後も取り組んでいきます。同様の問題でお困りの方は、飲食店ユニオンの相談ホットラインにお電話をお寄せください。毎週火曜日と金曜日の、17時から21時に、相談を受け付けています。


 現在、Iさんのようにパートやアルバイトの収入によって生計を立てている労働者は多くいると思われます。しかし、最低限の休業手当がしはらわれても、平均賃金の計算上、生活していくには難しいほど金額が小さくなってしまう場合があります。そういった場合、労働組合から全額の給与補償を求めていくことが可能です。企業としても、雇用調整助成金を活用し、全額補償をしてほしいと思います。



画像は下記NHKニュース「アルバイトにも休業手当の支払いを 団体交渉を申し入れ」(2020年5月26日)より

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200526/k10012444781000.html


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