保育園運営という人の命を預かる企業で社員の人権侵害~保育大手「ライクキッズ」と団体交渉中~

更新日:9月15日

民間保育大企業「ライクキッズ」と団交中

 現在、首都圏青年ユニオンは、認可・認証保育園や公設民営保育施設などを多数運営する大企業「ライクキッズ株式会社」と団体交渉中です。当該組合員Aさんは、臨床心理士の資格を持ち、「保育サポート室」という部署で、保育園の先生や子ども達、親御さんたちを心理的に支える業務を担っていました。女性の社会進出にともない、保育施設の充実が求められているいま、重要で専門的な仕事です。


 しかし、会社はAさんにある日突然、臨床心理士の能力を必要としない「公的事務グループ」への異動を命じました。命令の理由の1つとして、Aさんが業務に適さないことを伝えてきましたが、実際には、Aさんは日々の業務のなかで園長先生や保育士さんたちから感謝の言葉をもらうことが多く、Aさんが不当な異動命令を命じられた際も、複数の園長先生たちがライクキッズに抗議をしてくれるなど、事実とは反する理由でした。


理不尽すぎる雇い止め―異動命令断ったらクビ―

 臨床心理士の資格を活かしたいと入社したにもかかわらず、理不尽な理由で異動を命じられたAさんは、東京都労働局の出先機関に相談をします。そこでAさんは、その異動命令が契約違反であることを指摘されたため、Aさんは異動命令を拒否をしました。契約書の業務内容は「保育サポート室の業務」と限定されていたため、本人の意思に反した異動命令は契約違反となり、また、パワハラにあたります。すると、Aさんが拒否をした翌日に、会社はAさんの契約を翌月末までで終了すると告げたのです。


 そもそも、Aさんは正社員として応募し、採用されました。ただ、採用時に、個人的な事情によりできれば週4日勤務にしたい、と申し出たところ、週4日勤務は受け入れてもらえたものの、Aさんに無断で1年間の有期雇用契約にされていたのです。上司からは「1年働けば無期雇用になれる」と説明を受け、「会社の制度が変わらない限り無期雇用になれる」とまで説明されましたが、1年後の更新時にも無期にはしてもらえませんでした。約束を守らず有期雇用のまま据え置き、理由も手続きも不十分に雇い止めを強行する、理不尽極まりない行為です。


団体交渉における不誠実な対応

 ユニオンは会社に対して、Aさんには契約更新の期待、さらには無期転換の期待が十分にあったものとして、雇い止めの撤回を求めています。しかし、会社の対応は不誠実です。1回目の団体交渉では、Aさんに無期転換できると説明していた上司を団交に出席させるようユニオン側から求めていたにも関わらず、数か月前にライクキッズに出向してきたばかりで経緯を把握していない人間と、グループ企業である他会社所属でありさらに経緯を把握していない人間が出席しました。ユニオン側から送った申立書にも、ろくに目を通していない印象でした。こちらから質問をしても、確認します、との返答ばかりで、団体交渉がほぼ内容の無いもので終わってしまいました。

 1回目の団体交渉の後、ライクキッズからAさんに、社会保険の自己負担金の支払いを求める文章が送られてきました。この文章について、ユニオンからライクキッズに問い合わせたところ、ライクキッズはAさんの社会保険については3月末で資格喪失手続き済みであるとの回答でした。しかし、Aさんが6月末に年金事務所やハローワークに問い合わせたところ、ライクキッズが資格喪失手続きをした事実は一切無いとのことでした。つまりお金の支払いという重要な事柄について、労働者に虚偽の説明をしていたのです。

 ライクキッズの嘘はこれだけではありません、2回目の団体交渉の後に、雇用契約書にこういった一文があるので雇い止めが正当である、という主張の回答書がライクキッズから送られてきたのですが、当該の雇用契約書にはそんな文は一切記載されていません。契約書を一目確認することすらせずに回答するとは大企業のやることとは思えません。

 さらに、労働組合の活動は憲法で護られている権利であるにも関わらず、ユニオンの行動に対して刑事告訴するなど、脅迫的な文章が綴られていました。

 団体交渉は労働者の正当な権利であり、企業はそれに誠実に対応しなくてはならない義務があります。しかし、ライクキッズの対応からは不誠実極まりないものであり、不当労働行為という、違法行為だと考えています。


 ユニオンは、今後は団体交渉と並行して、会社の運営する保育施設前での宣伝行動、自治体や株主への告発、社会的な発信などを続けていきます。

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