ヤマト運輸、セクハラ加害者への処罰の内容を被害者には教えない、という意味不明の回答――第3回ヤマト運輸団体交渉報告

 首都圏青年ユニオン(以下青年ユニオン)は現在、セクハラ・パワハラや、休憩時間が取れていないといった問題について、ヤマト運輸株式会社(以下ヤマト運輸)の東京ベース店と団体交渉を行っており、先週、第3回目の団体交渉がありました。第1回第2回団体交渉の経過についてはこちらを参照ください( 「ヤマト運輸株式会社、自身のセクハラ被害を訴えた女性パート社員を雇い止め」)。今回は第3回団体交渉の報告をしたいと思います。



◆セクハラ加害者に処罰はしたがどんな処罰をしたかは教えない?!――ヤマト運輸の意味不明の回答


 ヤマト運輸は、第1回・第2回の団体交渉で、組合員であるパート社員のAさんに対する、同じくパート社員で勤続年数の長いBさんによる「もうすぐ射精しそうだよ」などの発言をセクシュアルハラスメントと認め、Bさんへの懲戒処分を検討するとしていました。

 第3回団体交渉では、Bさんに対する懲戒処分についての検討結果を教えるよう求めました。ヤマト運輸は、Bさんに対して社内の基準に従って懲戒処分をおこなったと回答したため、青年ユニオンからどのような処罰を行ったのか聞いたところ、懲戒処分の内容を教えることを拒否しました。

 意味不明です。セクハラ被害を訴えた被害者は、会社が加害者に対してどのような処罰をしたのか聞く権利があるはずです。これでは、被害者には言えないほど不適切な処罰だったではないかと疑わざるを得なくなります。

 厚労省が2018年10月に発行している『職場におけるセクシュアル・ハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!!』というパンフレットでも、「相談に対する適切な対応」の「ポイント」として、「相談を受けて終わりではなく、事業主としてどのように判断したのか、今後どのように対応していくのか等を相談者本人にフィードバックすることも大切です」(20ページ)と書かれています。

 ヤマト運輸が加害者への懲戒処分の内容を、組合及び被害者であるAさんに伝えるよう求めます。


 またヤマト運輸は、セクハラ被害者であるAさんを、ユニオンに加入してハラスメント被害を訴えたことを理由に厄介者払のように雇止めにしています。ユニオンは引き続き雇止めの撤回を訴えましたが、まったく撤回しようとしませんでした。(ヤマト運輸によるセクハラ被害者の雇止めについてはこちらを参照ください。 「ヤマト運輸株式会社、自身のセクハラ被害を訴えた女性パート社員を雇い止め」



◆休憩時間が取れておらず違法状態が存在


 労働基準法では、8時間以上の労働には1時間以上の休憩が義務付けられていますが、組合員Aさんが勤めていた倉庫では、業務量が過大で、パート社員は休憩を適切に取れていませんでした。また、休憩が取れていないにもかかわらず、1時間の休憩をとっているものとして給与計算がされていたため、未払い賃金が存在しました。

 この点については、第1回・第2回の団体交渉で、ヤマト運輸も休憩が取れていなかったこと、未払い賃金が発生していたことを認め、未払い賃金をその倉庫のパート社員全てに支払うことを約束しました。また、休憩を適切に取れるように労務管理や人員配置を見直すことを約束しました。

 第3回団体交渉では、①他の倉庫では休憩時間が適切に取れているのかどうか、また②労務管理や人員配置の見直しの結果、どのような改善を実施することにしたのか、回答を求めました。



①他倉庫では休憩時間が適切にとれていたのか?

 ヤマト運輸は東京ベース店に勤める多数の労働者に確認したところ「組合員Aさんが勤めていた倉庫以外で、休憩時間を適切に取れていないという声は出なかった」と言い切りました。

 本当でしょうか?ユニオンとしては、率直に言ってにわかには信じられません。組合員のAさんの職場では、休憩時間中にもトラックが倉庫に入ってきますし、作業量が多すぎてとても休憩が取れる状況ではありませんでした。こんな状況がAさんの職場だけで起きていた問題だ、とは思えません。

 休憩時間が取れていない・取れていなかった、という労働者の方が居ましたら、ぜひメールやツイッターのDMなどで教えて頂ければと思います。ヤマト運輸の倉庫作業をしている・倉庫作業をしていた労働者の皆さん、休憩時間は適切に取れていましたか?声を寄せていただきたいと思います。



②休憩時間を適切に取れるようにするための労務管理・人員配置の見直し

 ヤマト運輸は、この点について、東京ベース店管轄の各倉庫に管理者を1人ずつ増員し、その管理者がきちんと休憩を取るよう従業員を指導し、またその管理者の権限で増員が必要な場合は増員をするという体制を1月半ばから取っていると回答しました。これが実施されているのだとすれば、今回の交渉の大きな成果です。

 しかし、この管理者は荷物の仕分け作業をするわけではありません。青年ユニオンは、管理者を配置した結果、増員がされたのかどうか、荷物あたりの人員は増えたのか、確認するようヤマト運輸に求め、ヤマト運輸が調査することになっています。

 また、ヤマト運輸は1月半ば以降、各倉庫に1人ずつ管理者を増員したと言っています。これが実施されていたとすれば非常に大きな改善です。本当に管理者が増員されたかどうか、ヤマト運輸東京ベース店が管轄する倉庫で働く労働者の方々には情報提供をお願いしたいと思います。



◆「回答書」におけるヤマト運輸の明らかすぎる「嘘」


 ユニオンはヤマト運輸が無責任な回答を繰り返すため、団体交渉でヤマト運輸が行った回答を改めて文書で回答するよう求めました。しかし、その回答書でヤマト運輸は、雇止めについてのこれまでの主張を変更しています。

 これまでヤマト運輸は「Aさんの業務上の問題行動を理由に雇止めにするのであって組合加入を理由とした雇止めではない」という主張をし、その「問題行動」は、今回の団体交渉を受けたAさんへのハラスメントについての従業員調査のなかで明らかになったとしていました。

 これに対してユニオンは、そもそも「問題行動」についてのヤマト運輸の事実認識に大きな誤りがあること、また雇止め理由としての「問題行動」は、第2回団体交渉のときに始めて出てきたもので、雇止め通告がなされた第1回団体交渉では何も触れられていなかったため「問題行動」を理由とした雇止めとは考えられない、と主張してきました。

 しかし、回答書でヤマト運輸は、Aさんの問題行動について、Aさんが組合加入する前から知っていたと突然言い始めたのです。

 これまでの交渉では、「問題行動はハラスメント調査の中で明らかになった」としていました。しかしそれでは「団体交渉を受けて雇止めを決定したのだ」というユニオンの主張に有利になってしまうと考え、「組合加入前に知っていた」と言い始めたのでしょう。明白すぎる「嘘」です。加入前から知っていたのならば、なぜこれまでそう言わなかったのでしょうか?団体交渉に応ずる姿勢として非常に不誠実です。


 首都圏青年ユニオンは、引き続きヤマト運輸に対する交渉や社会的行動を展開していきますので、情報の拡散などのご支援をぜひよろしくお願いいたします。


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