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コロナ感染疑いで保育園を休んだ子どもの世話のために仕事を休んだパート労働者、企業から全額の賃金補償獲得!!

 2人の子どもを育てながらパートとして働くAさんは、保育園から子どもの1人が38度を超える発熱をしているとの連絡を受け、すぐに迎えに行きました。ここの保育園では、同居家族に37.5度以上の発熱者がいる場合、登園禁止となるため、同じ保育園に通っているもう1人の子どもも家にいなければならなくなりました。2人の子どもが保育園に行けず家にいることになり、Aさんはやむなく仕事を休みました。

 このような場合でも、「小学校休業等対応助成金」という制度を活用すれば、企業には一切金銭的な負担がかからずに、Aさんが休んだ期間に賃金の全額を補償することが可能です。つまり、これを使えば、企業から賃金をもらいながら子どもの世話ができるのです。首都圏青年ユニオンの飲食業分会である「飲食店ユニオン」は、Aさんが働く株式会社フジオフードシステム(以下、同社)に対して、同助成金を活用して全額の賃金補償を行うことと、全従業員に同助成金の活用を促す案内をするよう要求しました。

すると、同社は、Aさんの休みに全額の給与を支払い、小学校休業等対応助成金を活用することを認め、また全従業員に同助成金の活用を促す案内をすると回答をしました。非常に画期的な成果です。


◆コロナに感染した場合だけでなく、感染疑いの場合でも小学校休業等対応助成金を活用できる!

 新型コロナが広がるなか、小学校や保育園などが休校・休園となったり、子どもが新型コロナに感染するなどで、子どもが小学校・保育園などに行けず家にいなくてはならない状況が広がっていました。そんななか、保護者が子どもの世話をするために家にいなければならず、仕事を休まなければならない状況が生まれています。このようにコロナに関連して発生した子どもの世話の為に休んだ労働者に対して、その休んだ期間について全額の賃金補償をした場合、その賃金補償の全額を国が企業に助成する制度が「小学校休業等対応助成金」です。この助成金を使えば、企業への金銭的負担も生じずに、労働者は賃金を受け取りながら仕事を休んで子どもの世話を行うことができるのです。

 そして、この助成金は、子どもがコロナに感染した場合のみならず、熱が出て感染の疑いがある場合にも活用できます。Aさんのお子さんの場合、検査をしたところコロナには感染していませんでしたが、同助成金の対象になります。厚労省が作成する同助成金のQ&Aを見ると、「(同助成金の対象となるとされている―引用者)「風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれがある子ども」とはどのようなものが該当しますか。」という質問に対して、「発熱などの風邪症状がみられる子ども」も該当すると書かれています。


◆株式会社フジオフードシステム、全労働者に同助成金の周知を行うことに!

 Aさんからの相談を受けた飲食店ユニオンは、Aさんが働く株式会社フジオフードシステムに対して、①Aさんが休んだ期間に全額の賃金補償を行い、小学校休業等対応助成金を使うこと、②小学校休業等対応助成金を企業内で全労働者に周知することを提案しました。

 首都圏青年ユニオンには他企業の労働者からの同助成金に関する相談が寄せられていますが、「この助成金の活用を企業にお願いしたら、シフトカットされるのでないか、雇止めされるのでないか」などといった恐怖も非常に強いことが相談から伺えます。また、そもそも同助成金の存在を知らない労働者も非常に多いです。

 企業が同助成金活用を従業員に促すことは、助成金の存在を知らない多くの従業員にその存在を周知するというだけでなく、「助成金を使ったらシフトカット・雇止めをされるのでないか」という労働者の恐怖を払しょくするうえでも非常に重要です。

株式会社フジオフードシステムは、飲食店ユニオンの要求の結果、Aさんの休みについて小学校休業等対応助成金を使って賃金全額を補償することはもちろん、全従業員への同助成金の周知も行うと回答しました。


◆企業が賃金の補償と助成金の活用をしてくれない場合でも、国から受け取れます。

 同助成金は、基本的には、労働者の休みに賃金を支払った企業に対する助成金ですが、企業が休みに対して賃金を支払ってくれなかったり助成金を使ってくれない場合には、労働者が国から直接賃金補償を受け取ることも可能です。

 厚生労働省のリーフレットによれば、国から直接受給する場合には、まず都道府県の各労働局に設置されている「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」に連絡し、その後労働局から企業に助成金活用を働きかけても活用しない場合には、「休業支援金・給付金」の仕組みを活用して、労働者が国から直接賃金補償を受け取ることができます。


◆首都圏青年ユニオン・飲食店ユニオンにぜひご相談を

 首都圏青年ユニオン・飲食店ユニオンは、同助成金の活用と子どもの世話のための休みへの賃金補償を支援する取り組みを行っています。無料の労働相談への対応はもちろん、Aさんのように企業に賃金補償と同助成金活用を求めること、また企業が同助成金を活用してくれない場合には、申請書の作成や書類の整備など休業支援金・給付金の申請支援も行います。

 過去の休みについても同助成金の活用は可能ですので、是非お気軽にご相談ください。

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