【争議報告】 特例子会社との雇止め撤回団交で和解!
- union2000seinen
- 9 時間前
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チャレンジドユニオン(障害者雇用分会)の組合員Kさんは都内の特例子会社に契約社員として務めていましたが、ちょうど勤続1年になるタイミングでの雇止めを言い渡されました。もともと労働環境の改善を求めて団体交渉の申入れをしており、雇止め通知は申入書送付の約2週間後だったため、不当労働行為の可能性も鑑み、雇止め撤回の団体交渉を行いました。2回の団交の結果、撤回には至らなかったものの、当該組合員の再就職にかかる支援金として2か月分の給与額を勝ち取りました。以下に経過をまとめます。
当初の要求事項
雇止め通知以前の要求事項は、「髪色・ひげの自由化」、「注意指導の仕方の改善」でした。
Kさんは当時金髪だったのですが、業務中のミスで上司から注意を受けたその後日、「誠意を見せるために髪を黒染めした方がいい」という主旨の指導を受けました。他の部署や親会社の従業員では同じように金髪の人もいれば赤髪の人もいるにもかかわらず、そのような指導を受け、Kさんは不本意でしたが、言われたとおりに黒染めをしました。その後もブリーチにより徐々に髪色が明るくなってきているKさんに対して、上司が再度注意される前に自分で染め直すよう注意することがありました。これに限らず、上司の注意の仕方も「そんなことしてたら仕事がなくなるよ」、「大人になって」など、余計な一言が付いてくることもKさんは不満に感じていました。これについて、ユニオンはKさんが障害者であるということから差別的な扱いをしているのではないかと主張し、髪色の自由化を求めました。
会社はこの要求に対して、髪色は既に自由であり、そもそも髪色に関して指導をしたことはなく、Kさんの言っている会話は上司との雑談の範囲でなされたものだと反論しました。しかし、1回目の注意は上司2人とKさんの面談中に、2回目の注意は会議後に上司に呼び出されて言われたものです。雑談をするために呼び出すのは不自然だと主張すると、別件で指導するためだったと反論しましたが、その内容までは記録がなく、詳しく教えてくれませんでした。
ひげに関しては、無精ひげが生えていたところを剃るように注意され、会社はこれに関しては事実を認めましたが、清潔感がない場合に注意しているとし、清潔感を定義する基準を尋ねたところ確固たる定義や基準はなく、社外の人が見た際に不快に感じたり衛生的でないと感じられたりするものだと回答を濁しました。
髪色に関して、上司にとっては雑談であったとしても、部下からすれば注意だと捉えるのは自然です。またひげに関して、明確な基準がなければ、会社や上司が属人的な判断で注意指導できてしまい、特定の従業員への嫌がらせや差別的取り扱いに悪用されかねません。
雇止め理由
会社は雇止めの理由として、もともと1回目の契約更新もしないつもりだったが改善の機会を与え、それでも改善できなかったため2回目の更新はしないという判断に至ったというものでした。また、不更新は申入れの約2か月前には決定していたため組合員への不利益取り扱いではないと主張しました。
具体的な理由としては、「モチベーションが長続きしない」、「指導を素直に受け入れられない」、「業務をマニュアル通りにやらない」などの理由が挙げられましたが、いずれも客観的な根拠の提示が乏しく、非常に抽象的で、あくまで会社側の「評価」に過ぎないものでした。その評価が適切だったのか確認すべく、具体的な事象を提示し説明するよう求めましたが、最後まで納得できる回答は得られず、ユニオンとしては、気に入らないから切る、という判断にしか思えません。
金銭和解
雇止め撤回はできませんでしたが、相手は特例子会社であり、多様性の尊重と平等な職場環境の構築をうたっていることから、そのような会社が障害者の雇用の不安定を積極的に招いていいのかと問い、最終的には金銭和解に至りました。
有期雇用の闇
いくら雇止め理由が不十分で、合理的でないとはいえ、Kさんは半年契約を一度更新したのみで、期待権もなく、いわゆる雇止め法理には該当しません。そのため、違法な雇止めとは言い難く、撤回には届きませんでした。実は障害者雇用の大きな問題のひとつはこの「有期雇用」です。Kさんの事例のように、特段の理由がなくとも、会社は労働者の雇用をいとも簡単に切れてしまうことに加え、違法でないため、撤回させることも難しいのです。最近は裁判でも有期雇用の雇止めは敗訴が続いているようです。しかし、それでは障害者の安定的な雇用は実現せず、そもそも有期雇用という不安定で使用者側に都合のいい雇用形態自体が問題です。また、有期雇用の問題は障害者雇用だけの問題ではありません。今後はチャレンジドユニオンで有期雇用問題について発信や要請をしていきます。
Kさんからひとこと
約半年間会社と闘って参りましたが、復職までには至らず悔しさは残りますが、再就職手当金として2ヶ月分の給与分勝ち取ることができて良かったと思います。
ユニオンの力添えが無ければ、ここまで勝ち取れる事はなかったと思い、ユニオン関係者には大変感謝しております。
会社は『ダイバーシティ&インクルージョン』と謳い、障害者の雇用促進を目的としていますが、この様な事態に発展したのは不本意であります。
今後はこの様な事が起きない事を祈りつつ、私みたいに苦しんでる人には、この経験を生かして手を差し伸べていけたらなと思います。
最後に、会社で不利益な取り扱いをされてる、会社での悩みを少しでもお持ちの方は、是非ユニオンを活用して相談して欲しいと思います。




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