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杉並区「区障害者団体連合会」の知的障害のある労働者を最低賃金を下回る賃金で雇用した事件に対する声明文

  • 執筆者の写真: union2000seinen
    union2000seinen
  • 4 日前
  • 読了時間: 3分

 私たちチャレンジドユニオンは、障害者雇用で働く当事者、および障害者雇用で働く当事者を支援する支援職で結成された労働組合です。


 先般、東京都杉並区から区の障害者交流館の清掃作業を受託していた「区障害者団体連合会」は、知的障害のある清掃員を東京都の最低賃金1163円の約半分である582円で雇っていたと告発を受けました。この告発を受け、新宿労働基準監督署は最低賃金法違反として告発を受理したことが判明しています(2025年8月2日東京新聞)。


 たしかに障害者総合支援法では就労継続支援B型など利用者との雇用契約を結ばないものがあり、利用者に支払われる工賃は最低賃金を下回ることが許容されております。この制度自体、当ユニオンとしては批判的な立場ではありますが、本件事業所はB型作業所には該当しない事業者です。また最低賃金を下回る賃金を支払っていたことについて、使用者および区は「清掃は労働ではなく、一般就業が難しい障害者への訓練だった」と主張し自己正当化しています。しかし、本件では労働時間、労働場所も定められており、契約書からも労働者性がはっきりしているとのことです。


 本件は最低賃金の半分という非常に極端かつ悪質な例ですが、低賃金の問題は障害者雇用全体にかかわる社会的な問題です。フルタイムに近い、週30時間以上働く障害者雇用当事者の月の所定内給与額は、いずれの障害も最低賃金近傍の水準となっています(身体障害のある労働者が26万8000円、精神障害のある労働者が19万3000円、発達障害のある労働者が15万5000円。厚労省令和5年度障害者雇用実態調査)。この額は障害のある人の生活上の支出が健常者よりも多いことを考えれば、きわめて低いと言わざるをえません。


 こういった社会的情勢を踏まえ、私たちチャレンジドユニオンは「区障害者団体連合会」の知的障害のある労働者を最低賃金を下回る賃金で雇用した事実、そして「清掃は労働ではなく、一般就業が難しい障害者への訓練だった」という主張に抗議し、全国の各事業者に障害者雇用の低賃金改善を求めます。


 本事件に端的に表れている通り、事業者は障害のある労働者を半人前の労働力として下等に評価し、生活賃金を下回る低賃金で雇用することが多くあります。現在の障害者雇用の低賃金は、障害者は家族などに支援されているという事実と異なる偏見のもと、障害のある労働者の労働を家計補助労働として見なすことで合理化されています。しかしこういった障害者雇用当事者の人物像は、実態とはかけ離れたものです。


 当ユニオンは本事件に限らず、障害者雇用の低賃金に断固として抗議します。各事業者に低賃金を改善し生活賃金相当の賃金を支払うこと、障害のある労働者の生活を保障するという事業者の社会的責任を果たすことを、強く求めます。

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