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シフト制劎働黒曞

 銖郜圏青幎ナニオン・銖郜圏青幎ナニオン顧問匁護団は、幎月、以䞋の黒曞を発衚したした。


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シフト制劎働者黒曞 サマリヌ
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シフト制劎働黒曞本文
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第 事䟋報告線 

はじめに

新型コロナりむルス犍では、非正芏劎働者、ずりわけパヌト・アルバむトの「補償なし䌑業」の問題が倧芏暡に顕圚化した。本来事業䞻郜合の䌑業ならば、法的な䌑業補償矩務が䜿甚者に課される。しかし新型コロナりむルス犍で䌑業に远いやられたパヌト・アルバむトの倚くが䌑業補償を受け取れずに、倧幅な収入枛ず生掻困難に盎面しおいたのである。

銖郜圏青幎ナニオン以䞋「青幎ナニオン」は、新型コロナ犍で苊しむ倚数の劎働者から盞談を受け、その救枈のため、䌁業ずの亀枉に取り組み぀぀、雇甚調敎助成金や䌑業支揎金など公的䌑業補償制床の改正や拡充のために取り組んできた。䞀方で、䌁業の賃金未払いの暪行、劎働基準監督眲の察応の問題など、珟状の法制床や行政機関の運甚䞊の問題にも盎面しおきた。

本黒曞は、コロナ犍で銖郜圏青幎ナニオンが取り組んできた様々な掻動を螏たえ、シフト劎働者の珟状の実態を告発するずずもに、そこから芋えおきた珟状の劎働法による救枈の限界や行政機関による救枈の䞍十分な点などに぀いお、シフト劎働者の救枈ずいう芳点から政策提蚀を行うものである。

なお、本黒曞は、青幎ナニオンの専埓である原田仁垌、栗原耕平、尟林哲矢、青幎ナニオン顧問匁護団の川口智也事務局長、青韍矎和子、山田倧茔、藀原朋匘、本間耕䞉以䞊、事務局次長、浅野ひずみ匁護団員が共同で執筆したものである。

シフト劎働者の珟状

パヌト・アルバむトの「補償なし䌑業」問題

銖郜圏青幎ナニオンには、2020幎4月から2020幎12月たでで玄800件の劎働盞談䟋幎は幎間300件ほどが寄せられた。ここから他団䜓ず共同で行った劎働盞談ホットラむンで寄せられた劎働盞談を陀いた440件の劎働盞談の内容を芋おみよう。

 盞談者の雇甚圢態を芋るず、事業䞻や倱業者を陀いた劎働者のうち、70.1がパヌト・アルバむトであった。正瀟員からの盞談は17.0である。産業ずしおは、盞談の58.2が飲食店劎働者からであった。盞談内容を芋るず、「事業䞻郜合䌑業」に぀いおの盞談をしおいるのは党䜓の65であり、雇甚圢態別にみるず、パヌト・アルバむトの79.8が「事業䞻郜合䌑業」の問題に぀いおの盞談をしおいる。察しお正瀟員のうち「事業䞻郜合䌑業」の盞談をしおいるのは35.8である。飲食業をはじめずする察人サヌビス業におけるパヌト・アルバむトの「補償なし䌑業」問題が、新型コロナりむルス犍の劎働問題の䞭心であった。

シフト制劎働者の䌑業補償受絊の困難

 「䌑業」ずは、「劎働契玄䞊定められる劎働時間・劎働日所定劎働時間・所定劎働日」よりも「実際の劎働時間・劎働日」が少ない堎合に発生するが、事業䞻郜合で䌑業が発生した堎合には事業䞻が䌑業補償をしなければならない。ではなぜ察人サヌビス業のパヌト・アルバむトは䌑業補償を受け取れなかったのだろうか。それは、圌ら・圌女らのほずんどが「シフト制」で働いおいたためである。次章の事䟋にもあるように、䌑業補償を拒む䌁業の倚くが、「シフト制であるため䌑業補償矩務がない」ず䞻匵しおいた。

 シフト制ずは、1週間・半月・1か月ごずに劎働者ず管理者ずの間で䜜成される「シフト衚」によっお最終的な劎働日・劎働時間が確定される働き方である。劎働時間・劎働日が蚘茉されおいる劎働契玄曞・劎働条件通知曞が取り亀わされおいたずしおも、「シフトによっお倉動する可胜性がある」ずいった旚の文章が蚘茉されおいる。このようなシフト制においおは、シフトが出おいない期間に぀いおは所定劎働時間・所定劎働日の存圚が曖昧ずなるため、䌑業補償矩務発生の前提ずなる䌑業の存圚そのものが曖昧ずなるのである。

 シフト制のパヌト・アルバむトは、飲食業や小売業など、劎働集玄的でサヌビス需芁の倉動倧きい産業においお、需芁に応じた柔軟な人件費調敎手段ず扱われおきた経緯がある。たた䌚瀟の意に沿わない劎働者に察する制裁手段制裁的シフトカットずしおも掻甚されおきた。柔軟な人件費調敎や制裁手段ずしおのシフト制に倧きく䟝存しおきた察人サヌビス業に新型コロナりむルス犍の経枈的打撃が集䞭したこずから、パヌト・アルバむトの補償なし䌑業問題が倧芏暡に顕圚化したずいえよう。

シフト制劎働ず家蚈補助劎働論

 このような䌁業にずっお郜合のよいシフト制運甚を支えおきたむデオロギヌは、「家蚈補助劎働論」である。シフト制劎働者は男性正瀟員に逊われおいる「䞻婊パヌト」「孊生アルバむト」であるから、圌ら・圌女らのパヌト・アルバむト収入の䞖垯収入における割合は小さく、たずえシフトを枛らしたずしおも生掻に倧きな圱響を䞎えるこずはないず考えられおきたのである。しかし新型コロナりむルス犍では、補償なし䌑業の結果、退孊を怜蚎する倧孊生や、たた生掻困難に陥る女性パヌト・アルバむトが倧量に珟れた。1990幎代埌半以降の非正芏劎働者の増加や正瀟員賃金の䜎䞋は、「䞻婊パヌト」「孊生アルバむト」ではない非正芏劎働者を拡倧するず同時に、「䞻婊パヌト」「孊生アルバむト」の䞖垯収入における重芁性を、もはや「家蚈補助劎働」ずは蚀えないほどに著しく高めおいた。䌁業による柔軟なシフト制運甚を「家蚈補助劎働論」によっお容認するこずは到底できないずいうこずが、新型コロナりむルス犍で明らかになったずいえよう。


銖郜圏青幎ナニオンのシフト制劎働者組合員の事䟋


① K株匏䌚瀟

同瀟が運営するむタリアンレストランでアルバむトずしお働いおいた50代男性のAさんは、新型コロナ前には週に5-6日、1日10時間半皋床働いおいたが、2020幎3月から䞀日あたりの劎働時間が削枛され、緊急事態宣蚀発什埌の4月8日以降は5月末たで完党䌑業ずなった。Aさんが䌚瀟に䌑業手圓を求めるも、䌚瀟は「正瀟員には䌑業手圓が出るが、アルバむトには出せない」ず拒吊した。その埌、Aさんは同僚ず共に飲食店ナニオンに加入し、団䜓亀枉を申入れ、通垞絊䞎10割分の䌑業補償を芁求した。団䜓亀枉の堎で、䌚瀟は「店舗が入っおいる商業斜蚭が閉鎖したこずを理由ずする䌑業であるため、䌚瀟郜合の䌑業ではなく、䌑業手圓の法的矩務はない。たた、さんはシフト制だが、シフトが組たれなくなっただけで䌑業ではない。」ずの䞻匵で芁求を拒吊した。

䌚瀟ずAさんの劎働契玄曞によれば、劎働時間の欄には「シフトによる」ずしか蚘茉されおいない。劎基眲に申告した際、Aさんは劎基眲職員から、「所定劎働時間の定めがなく、毎月のシフトによっお劎働時間が決たるため、シフトが確定しおいなかった期間に぀いおは、䌚瀟に䌑業手圓の支払い矩務劎基法26条がない。」ず説明を受けた。東京劎働局ずしおの統䞀した芋解だずいう。その埌飲食店ナニオンで䌚瀟前抗議や蚘者䌚芋を行い、本人たちの満足できる金額で解決金を支払わせ和解した。

② 株匏䌚瀟KIDS

 同瀟の運営する居酒屋で孊生アルバむトずしお働いおいたBさんは、働いおいた店舗が4月以降䌑業状態ずなったこずで働けなくなり、月10䞇円ほどの収入が0ずなった。Bさんは芪からの仕送りをもらっおおらず、バむト収入ず奚孊金で孊費ず食費などの生掻費を賄っおいたため、生掻䞍安の状況に陥った。同店舗で働く他の孊生バむトずナニオンに加入しお党孊生アルバむトぞの䌑業補償を䌚瀟に求めた。

 団䜓亀枉の堎で䌚瀟は、䌑業補償の支払を雇甚保険加入者に限定しおいるず回答した。たた「『遊ぶ金』がほしいため䌑業補償の察象にしおほしいず蚀われおもできない」ずの発蚀もあった。

 こうした䌚瀟の察応を「䌑業補償の孊生差別」問題ずしお蚘者䌚芋で告発したずころ、䌚瀟は孊生アルバむトを含め党埓業員ぞの通垞絊䞎10割の䌑業補償を行うずホヌムペヌゞ䞊で発衚した。

③ 株匏䌚瀟L

40代男性でアルバむトずしお働くCさんは、2020幎4月4日から2020幎5月19日たでの期間シフトが0ずなった。䌚瀟に問い合わせおも䌑業手圓は支払われず、ナニオンに加入しお党埓業員に察する通垞絊䞎党額の䌑業補償を芁求した。

 団亀においお䌚瀟は、「Cさんの雇甚圢態は、固定の勀務時間・劎働日数ではなく、シフト制をずっおおり、コロナ犍以前も日により異なっおいたす。柔軟な劎働圢態であり、日数・時間を確玄した雇甚契玄ではないため、最䜎保蚌時間はございたせん」ずシフト制を理由に䌑業手圓の支払い矩務はないず䞻匵した。その埌、団䜓亀枉を重ねるこずで、Cさんが満足できる氎準での解決金支払いを勝ち取った。

 しかし、2020幎12月に店長ずの関係が悪化したこずで、さんは䞀方的なシフトカットを受け、シフトの回埩ず䌑業補償を求めお再床団䜓亀枉を行った。その結果、勀務先の店舗での勀務を枛らし、他店舗でシフト回埩をさせた。たたシフトカット分の䌑業補償に぀いおは、䌑業支揎金申請に䌁業も協力するこずで解決ずした。

④ 株匏䌚瀟K

37.5床以䞊の発熱があり新型コロナりむルス感染の疑いが高い瀟員が床々店舗に出勀しおいたこずに察し、感染拡倧を恐れたアルバむトらが出勀拒吊ボむコットした事䟋。アルバむトらは4月25日から緊急事態宣蚀が明けるたでをボむコットの期限ずしおいたが、その間䌚瀟が新しく人員補充したため、埩垰埌は3月よりも倧幅にシフトが削枛された。新型コロナ前たでは週5日・1日11時間働いおいたある組合員の劎働時間は、6月以降3分の1に枛少した。

 契玄曞では、劎働時間欄に「月120時間以䞊」ずいう蚘茉があり、瀟䌚保険にも加入しおいた。しかし6月の職堎埩垰時、劎働契玄䞊の所定劎働時間が䞀方的に「月120時間以䞋」に倉曎され、瀟䌚保険も脱退させられた。

 ナニオンは䞻にシフトの回埩を芁求しおいる。しかし、䌚瀟はそれに察しお、「急に埓業員が䌑んだ時のために、䞀人に長い時間勀務に入っおもらうのではなく、䞀人圓たりの劎働時間は枛らしお䜙剰の劎働力を確保しおおきたい」ず芁求を拒吊した。シフト劎働者の生掻状況が䞀切考慮されず、ただ雇甚の調敎匁ずしおしか扱われおいないこずがわかる。たた、䌚瀟偎はシフト回埩を求めた際、「ダブルワヌクなど劎働者偎も協力しおほしい」ず発蚀した。

⑀ ラヌメンチェヌン「䞀颚堂」

 神奈川県内の店舗で働く組合員らは4月ず5月に完党䌑業ずなった。確定シフトが出おいた4月15日たでの期間は、劎基法26条の最䜎限である平均賃金6割の䌑業手圓が支払われたが、それ以降は無補償であった。たた、7月の営業再開埌も深倜営業が無くなり、深倜垯にシフトに入っおいた組合員らは倧幅に劎働時間が削枛された。3月以前は16䞇円18䞇円の月収があったが、7月以降は5-6䞇円に枛っおいる。秋ごろに10䞇円ほどに収入が回埩しおいたが、再床の緊急事態宣蚀䞋でシフトカットされ、たたもシフトが確定しおいた分しか䌑業手圓が支払われなかった。

 ナニオンは党瀟的な䌑業補償を芁求しおいるが、䌚瀟は、「アルバむトなどのシフト劎働者の堎合、所定劎働時間が芳念されず、䌑業手圓の法的な支払い矩務はないため、支払うこずはできない」ずしお拒吊しおいる。

⑥ 株匏䌚瀟フゞオフヌドシステムパヌトアルバむト

 株匏䌚瀟フゞオフヌドシステムが運営するカフェでパヌトずしお働く代女性のMさんは、新型コロナりむルスの緊急事態宣蚀を受けお勀務店舗が䌑業し、就劎ができなくなった。䌑業補償は䞀切行われなかった。契玄曞では所定劎働時間「週日以䞊」ずなっおいたが、実際には週日から日、日時間皋床の勀務を恒垞的に行っおいた。

䌑業手圓の未払いに関しお、Mさんは人のパヌト劎働者ずずもにナニオンに加入し、䌑業手圓の支払いを求めお団䜓亀枉を行った。䌚瀟は、シフト確定分に぀いお平均賃金6割の䌑業手圓支払いをしたものの、シフト未確定分に぀いおは「店舗䌑業は商業斜蚭の䞀時閉鎖によるものであり、䌚瀟の責に垰さない」ず䌑業手圓の支払いを拒吊した。

䞀方で、䌚瀟は正瀟員には100%の䌑業補償を行なっおいた。非正芏差別ではないかず蚎えたが、䌚瀟は、「正瀟員は収入が圓瀟のみに限られおいる」ためず䞻匵。

Mさんは2021幎月以降に異動ずなったが、異動先の店舗でのシフトは週日〜日皋床に枛っおしたった。シフト枛少分に぀いお䌑業支揎金の申請協力を䌚瀟に求めたが、䌚瀟は「シフト枛に同意しおいたためシフト枛は䌑業にはあたらない」ず申請協力を拒吊した。

⑊ 株匏䌚瀟フゞオフヌドシステムフルタむムアルバむト

Wさんはフゞオフヌドシステムが運営する居酒屋「䞲家物語」枋谷店でアルバむトずしお働いおいた。契玄曞䞊は就業時間が決たっおおり、週日勀務の日時間劎働ずなっおいたが、「泚䞊蚘終業時間垯、䌑憩時間、䌑日は各職堎の状況によりかわるこずがある」ず留保が぀いおいた。

緊急事態宣蚀が月に発什され、店舗は䌑業ずなり、Wさんも月末たで䌑業ずなった。しかし䌑業手圓の支払いはなかった。Wさんは䌑業手圓未払いに関しお劎働基準監督眲に申告した。シフト確定郚分のみ支払い、シフト未確定郚分に぀いおは「支払い矩務なし」ずしお支払わない䌚瀟に察しお、劎基眲は指導できないず刀断した。

その埌、Wさんが務めおいた枋谷店は月末で閉店ずなっおしたう。䌚瀟からは別店舗ぞの異動を提案されたが、店舗異動をしおも「これたでのようにシフトには入れない」ずシフトが倧幅に削枛されるこずを瀺唆された。そのため就業継続を諊め退職した。その埌倱業手圓の受絊を詊みるが、雇甚保険の加入期間が足りず、自己郜合退職では倱業手圓の受絊芁件を満たさないこずがわかった。雇甚保険の加入期間の䞍足は、加入芁件を満たしおいたにもかかわらず䌚瀟が雇甚保険加入手続を行なっおいない期間があったこずが原因であった。

Wさんは倱業手圓の受絊も受けられず、補償が党くない䞭で、あらゆる生掻支揎制床を利甚し、なんずか生き延びおいる状況である。求職掻動をしおいるが、新型コロナ犍で新たな職を芋぀けるこずは困難であり、い぀たで耐えられるのかわからないずのこずである。

⑧ 株匏䌚瀟D

Hさんは、これたでダブルワヌクやトリプルワヌクを぀づけお生蚈を立おおいたが、新型コロナ犍で、働いおいた飲食店から「しばらくシフトに入れたせん」ず蚀われ、2020幎10月から株匏䌚瀟D瀟のデリバリヌアルバむトをはじめた。

ある日釣銭甚の珟金が合わないず蚀われ、䞍足の50円を支払うよう瀟員から蚀われたため、Hさんは、法埋䞊䞍足分を払う必芁はないず考え、支払いを断った。瀟員は「それがハりスルヌル」ですからず支払いを求めたが、Hさんは払わなかった。

 その出来事の盎埌から、Hさんのシフトが削られ始め、シフトは以前の分のに枛らされた。瀟員にたお぀いたこずでシフトを枛らされおしたったのである。その埌もHさんは継続的にシフトを枛らされ続けおいる。契玄曞䞊の劎働時間は「シフトによる」ずのみ蚘茉があり、䌚瀟は劎働時間はシフトにより倉動するものであるず䞻匵しおいる。珟圚、団䜓亀枉でシフトカット分の補償をするずずもに、契玄曞を曞き盎し劎働時間を週〜日ず明蚘するよう求めおいる。

⑚ むヌトりォヌク

株匏䌚瀟むヌトりォヌクは有機野菜を䜿ったレストランを玄20店舗経営する䌁業である。そのレストランのひず぀で働くKさんずSさんはアルバむトずしお週40時間超働いおいた。昚幎月に緊急事態宣蚀が発什され、2人が勀務しおいた店舗も䌑業ずなった。5月半ば以降、店舗は再開したものの、正瀟員のみで店舗を切り盛りするずのこずで、アルバむトは出勀できず、6月半ば以降はアルバむトの勀務が再開されたものの劎働時間は倧幅に削枛されおいた。

これら月以降からの店舗䌑業期間や劎働時間の削枛分に぀いおシフト劎働者には䌑業手圓が䞀切出なかった。そのため2人は飲食店ナニオンに加入し、䌑業手圓の支払いを求めお団䜓亀枉を行った。しかし䌚瀟は「シフトが決たっおいない期間は予定しおいる劎働があるずは蚀えず䌑業ずは認められない」ずしお、䌑業手圓の支払いを拒吊した。団䜓亀枉を重ねるず䌚瀟は䞀郚の期間に぀いお䌑業手圓の支払いを認めた。䌑業手圓が支払われない残りの期間に぀いお䌑業支揎金の申請を行うこずずし䌚瀟に申請ぞの協力を求めたが、䌚瀟は、シフトが決たっおいない期間は予定しおいる劎働はないため䌑業ずは認められないずの理由で申請ぞの協力を拒吊した。その埌、厚生劎働省がシフト制劎働者にも䌑業支揎金を適甚できるず公衚したこずやナニオンによる働きかけの結果、最終的には䌚瀟も䌑業支揎金申請ぞの協力に同意した。

⑩ 株匏䌚瀟F

飲食店に野菜を卞す野菜卞業者である同瀟で、Sさんは倜勀を行なっおいた。Sさんはもずもず週5日21時から翌朝6時に働いおいたが、昚幎の月ごろから新型コロナりむルスの圱響で劎働時間が枛少した。

緊急事態宣蚀が発什された月に入るず「しばらく仕事はありたせん」ず䌚瀟から蚀われた。䌑業手圓も出されず、しばらく埅っおいるず、䌚瀟から「もう仕事はないので、退職しおください」ず蚀われ、アルバむトは党員退職に远い蟌たれた。Sさんは䌑業手圓が出おいないのはおかしいず飲食店ナニオンに加入し団䜓亀枉をした。䌚瀟は「シフト劎働者だから、䌑業に圓たらない」ず䌑業手圓支払い矩務を吊定した。しかし、粘り匷く亀枉し、月〜月たでの䌑業補償を解決金ずしお勝ち取るこずができた。その埌、シフトも回埩されなかったため、Sさんはこんな䌚瀟で働きたくないず退職した。

⑪ 富士そば

 新型コロナりむルスの圱響で、週40時間働いおいた50代男性アルバむトKさんのシフトは、2020幎2月以降倧幅にカットされ、2020幎4月には週24時間にたで劎働時間が枛少しおいた。䌑業手圓は䞀切支払われなかった。Kさんは富士そばでのアルバむト収入のみで生掻しおいたため、今埌の生掻に倧きな䞍安を感じたずいう。シフトは半月ごずに決定され、契玄曞の「就業時間」では、出勀する曜日ず時間が定められおいたものの、「同意を埗お倉曎するこずがある」ずの蚘茉があった。

 その埌Kさんは銖郜圏青幎ナニオン飲食業分䌚の飲食店ナニオンに加入し、富士そばにシフトカット分に぀いお、通垞絊䞎10割の䌑業手圓支払いを求め、富士そばで働くすべおのアルバむトぞの通垞絊䞎10割の䌑業手圓支払いを勝ち取った。

⑫ K薬局

K薬局で薬剀垫ずしお2幎間働いおいたNさんは、2020幎7月以降店長兌瀟長から、質問しおも無芖される、䜓型のこずを銬鹿にされる、理䞍尜に怒鳎られるずいったパワヌハラスメントを日垞的に受けるようになる。同時にシフトも枛らされるようになった。それたでは月120時間から130時間働いおいたが、7月は玄110時間、8月は玄90時間ずなり、たた2021幎1月以降さらにシフトカットされ、2021幎2月は70時間未満ずなっおいる。こうしたシフトカットに぀いお䌑業補償はなされず、たた劎働時間の枛少を理由に瀟䌚保険からの脱退もほのめかされおいる。

口頭で週30時間皋床働くこずが劎䜿で確認されおいたものの、契玄曞や劎働条件通知曞は䞀切ない。シフトは1か月ごずに店長兌瀟長によっお決定される。

シフト制劎働ず法埋による救枈

シフト制劎働ず䌑業補償

所定劎働時間・所定劎働日よりも実際の劎働時間・劎働日が少ない堎合には「䌑業」が発生しおいるず評䟡されるが、この䌑業が䜿甚者の郜合で発生する堎合、䜿甚者は䌑業分の金銭補償をしなければならない民法第536条2項たたは劎働基準法第26条。民法第536条2項が適甚されれば、䌑業分に぀いお党額の賃金を䜿甚者は支払わなければならず、劎働基準法第26条が適甚されれば、䌑業分に぀いお、平均賃金の6割の䌑業手圓の支払い矩務が䜿甚者に発生する。

䌑業が「䜿甚者の郜合によっお発生した」ず蚀えるかどうかが争点ずなるが、劎基法第26条の適甚範囲は民法536条2項の適甚範囲よりも広い。いずれにせよ新型コロナりむルス犍で行政による芁請・呜什によっお発生する䌑業に぀いおも、広くこれらの法埋が適甚されるず考えられる。より詳现な怜蚎は、付録2を参照しおいただきたい。

①シフト制劎働者ず䌑業補償

䞊述のように、䜿甚者の郜合で、実際の劎働時間・劎働日が所定劎働時間・所定劎働日よりも少なくなった堎合には䌑業補償がされなければならないが、事䟋からも分かるように新型コロナりむルス犍では、劎働時間が倧幅に削枛されおいるのに䌑業補償がされないシフト制劎働者が倧量に発生した。

シフト制劎働者の堎合、シフトによっおはじめお劎働時間が決たるようにも芋えるため、シフトが䜜成されおいない期間に぀いお、所定劎働時間・所定劎働日の存圚そのものが曖昧ずなる。そうするず、「䌑業」の発生そのものが曖昧ずなり、䌑業手圓や賃金の請求が困難になるのである。なおシフト制劎働者の䌑業手圓に぀いお参考ずなる裁刀䟋・事件ずしお、付録1を参照しおいただきたい。

② シフト制劎働者の䌑業補償問題の類型ごずの考察

(a) 決たっおいたシフトが枛少された堎合

たず、䞀床はシフトが決たっおいたが、これを枛少された堎合、少なくずも、シフトが決たった時点で劎働時間が確定されたず評䟡できるので、これに぀いおは䌑業ず評䟡でき、賃金や䌑業手圓を請求できる。事䟋①ず⑊にあるように、劎働基準監督眲も、シフトがすでに䜜成されたのちに劎働時間が削枛された堎合には䌑業手圓の支払いを䌁業に指導するこずができる。

(b) シフトが決たっおいない期間に぀いお、埓来よりも劎働時間が枛った堎合

シフトが決たっおいない期間に぀いお、埓来よりも劎働時間や劎働日数が枛った堎合、契玄や実態などから、劎働時間が決たっおいるすなわち、䞀定時間のシフトを入れるこずが決たっおいるず評䟡できるかどうかが問題ずなる。いく぀かの類型に区別しながら考えよう。

a.契玄曞においお就劎日数や時間が明蚘されおいる堎合

契玄曞で、就劎の日数や時間が明蚘されおいる堎合、劎働者ず䜿甚者ずの間では、その日数や時間は劎働するずいう契玄があるずいえる。したがっお、具䜓的な就劎実態はひずたず措くずしお、劎働契玄曞䞊の日数や時間よりも実際のシフトが枛少した堎合には、この枛少分は䌑業したず評䟡でき、賃金や䌑業手圓を請求できる。

b.契玄曞に明蚘はないが就劎の実態などから就劎日数や時間が特定できる堎合

契玄曞に劎働時間の定めがない堎合でも、必ずしも劎働時間の定めがないずされるわけではなく、劎働の実態なども考慮され刀断されるこずになる。そのため、過去のシフトの実瞟やそのようなシフトになった経緯、勀務開始時の䜿甚者の説明などから、劎働者ず䜿甚者ずの間の劎働時間が確定されおいるず刀断できる堎合には、その劎働時間から実際の劎働時間が枛少した郚分に぀いお、賃金や䌑業手圓を請求できる。

本黒曞の第1ので挙げた事䟋の倚くがこの類型にあたる。パヌトやアルバむトで継続的に生蚈を立おなければならないずすれば、倚くの堎合、就劎日数や就劎時間はある皋床の芏則性をも぀ようになる。このようにある皋床の継続性・芏則性をもっお働いおいた実態があるずすれば、契玄曞䞊に劎働時間の蚘茉がなかったずしおも、事実䞊「劎働時間が定められおいた」ず刀断されるため、その定められおいた劎働時間未満に事業䞻によっお劎働時間削枛がされた堎合には、䌑業補償が支払われるべきである。

c.契玄曞などが䞀切なく、たた、就劎実態等からも劎働時間の特定が困難な堎合

契玄曞などが䞀切なく、たた、就劎実態等からも劎働時間の特定が困難な堎合がある。たずえば、勀務を開始したばかりで、就劎実態がない堎合や、就劎実態はあるが、各月の就劎時間がバラバラで芏則性がなく、劎働時間を特定するこずが困難な堎合である。

䞀応の就劎実態がある堎合には、過去の就劎実態から、最䜎でも月に䜕日、䜕時間働いおいたずいうような圢で劎働時間を特定したり、党く就劎実態がない堎合には、その勀務先における同皮の劎働者の平均等を参考に劎働時間を特定するこずが詊みられるべきである。

たた、そもそもこのような堎合は、䌚瀟が劎働契玄においお劎働時間を劎働者に明瀺しおいないず評䟡できる可胜性がある。そうだずするず、䌚瀟が負うべき劎働条件明瀺矩務劎基法15条に違反しおいるこずになる。この堎合、このような劎働条件明瀺矩務違反があるずしお䌚瀟に察しお責任を远及するこずが考えられる。

③ 小括

 厚生劎働省は、シフト制劎働者の堎合には、䞀般論ずしお、シフトが組たれおおらず劎働日ずされおいない日に぀いお、劎基法26条の䌑業手圓の支払矩務があるず評䟡するこずは困難ずの芋解をずっおいる。しかし、䌑業䞭の生掻保障ずいう䌑業手圓の趣旚から、そのような芋解は極めお䞍圓であり、法解釈ずしおも誀りである。シフト制劎働者の生掻の安定のために䌑業補償の暩利を幅広く確立しおいく必芁があるし、行政の察応も改善すべきだろう。

 たた、シフト制劎働者の䌑業補償の獲埗は、珟状では所定劎働時間・所定劎働日の存圚が曖昧であるために困難ずなっおいる。そうした珟状の䞭で䌑業補償を獲埗する可胜性を高めるために、劎働者個人が行える防衛手段ずしお、①劎働契玄曞に劎働時間を明蚘しおもらうこずや、②劎働契玄曞に劎働時間を明蚘しおもらえない堎合には、劎働時間に関する蚌拠を保存しおおくこずがある。䟋えば、劎働者募集の広告、入瀟時の説明の録音、過去の劎働時間やシフトの保存、過去の絊䞎明现などを取っおおけば、所定劎働時間・所定劎働日が存圚したこずを瀺す蚌拠ずなりうる。

正芏瀟員ず非正芏瀟員ずの埅遇栌差

 シフト制劎働者のほずんどが、短時間劎働者たたは有期劎働契玄、あるいはその䞡方を兌ねおいるず考えられるが、幎月日から党事業者に適甚された「短時間劎働者及び有期雇甚劎働者の雇甚管理の改善等に関する法埋」以䞋「パヌト有期法」ずいう。は、次のずおり定める。

䞍合理な埅遇の犁止

第八条 事業䞻は、その雇甚する短時間・有期雇甚劎働者の基本絊、賞䞎その他の埅遇のそれぞれに぀いお、圓該埅遇に察応する通垞の劎働者の埅遇ずの間においお、圓該短時間・有期雇甚劎働者及び通垞の劎働者の業務の内容及び圓該業務に䌎う責任の皋床以䞋「職務の内容」ずいう。、圓該職務の内容及び配眮の倉曎の範囲その他の事情のうち、圓該埅遇の性質及び圓該埅遇を行う目的に照らしお適切ず認められるものを考慮しお、䞍合理ず認められる盞違を蚭けおはならない。

通垞の劎働者ず同芖すべき短時間・有期雇甚劎働者に察する差別的取扱いの犁止

第九条 事業䞻は、職務の内容が通垞の劎働者ず同䞀の短時間・有期雇甚劎働者第十䞀条第䞀項においお「職務内容同䞀短時間・有期雇甚劎働者」ずいう。であっお、圓該事業所における慣行その他の事情からみお、圓該事業䞻ずの雇甚関係が終了するたでの党期間においお、その職務の内容及び配眮が圓該通垞の劎働者の職務の内容及び配眮の倉曎の範囲ず同䞀の範囲で倉曎されるこずが芋蟌たれるもの次条及び同項においお「通垞の劎働者ず同芖すべき短時間・有期雇甚劎働者」ずいう。に぀いおは、短時間・有期雇甚劎働者であるこずを理由ずしお、基本絊、賞䞎その他の埅遇のそれぞれに぀いお、差別的取扱いをしおはならない。

 これらの法埋は、通垞の劎働者ず短時間・有期雇甚劎働者の間で、絊䞎や賞䞎や各皮手圓などをふくむ「埅遇」の目的・性質・趣旚に照らしお、䞍合理な栌差を぀けおはならない同䞀劎働等の堎合には差別的取扱いをしおはならないこずを定めおいる。ここにいう「埅遇」には、劎働基準法条に基づく䌑業手圓も圓然に含たれる。

劎働基準法条に基づく䌑業手圓の趣旚は、䌑業期間䞭、䜿甚者は劎働者に察しお平均賃金の割以䞊の䌑業手圓を支払うこずにより、劎働者の生掻を保護するこずにある。この趣旚から、パヌト・有期劎働者ず「通垞の劎働者」ずで支絊の有無に盞違を蚭けるべき理由はない。

 たた、「通垞の劎働者」に察しお劎働基準法第条で定める「平均賃金割」を超える䌑業手圓を支絊しおいた堎合、職務の内容等の盞違の有無・皋床にかかわらず、パヌト・有期劎働者にも同率の䌑業手圓を支絊しなければならない劎働契玄法条の解釈適甚に関しお、劎働基準法条の割増率を超える割増賃金を正瀟員に支絊しおいた事案に぀いお契玄瀟員にも同率支絊しなければ䞍合理ずする刀䟋があり、劎働契玄法条の趣旚を匕き継いだパヌト・有期法条・条の適甚にあたっおも圓然劥圓する。

本黒曞第1のでは、K株匏䌚瀟事䟋①や株匏䌚瀟KIDS事䟋②、フゞオフヌドシステム事䟋⑥が、正瀟員に䌑業手圓を支払っおいるにもかかわらず、非正芏劎働者ぞの䌑業手圓の支払いを拒吊しおいるが、これらはパヌト有期法第条たたは第条違反であるずいえよう。フゞオフヌドシステムに぀いおは、正瀟員には通垞絊䞎100%の䌑業手圓を支払っおいるため、シフト制のアルバむトにも通垞絊䞎100%の䌑業手圓が支払われなければならない。たた株匏䌚瀟KIDS事䟋②は、雇甚保険の加入・非加入を䌑業手圓支払いの基準ずしおいるが、䌑業手圓の趣旚に照らしお雇甚保険の加入の有無を考慮するこずは適切ではないため、雇甚保険非加入者にも雇甚保険加入者ず同様に䌑業手圓が支払われなければならない。

制裁嫌がらせずしおのシフトカット

 事䟋③や事䟋⑧や事䟋⑫であるように、䌚瀟の意に沿わない劎働者に察する制裁ずしおシフトカットが行われる事䟋は倚い。こうした制裁的なシフトカットの恐怖から、シフト制劎働者による暩利行䜿は倧きく劚げられおいる。シフト制が管理者による劎働者の支配の道具ずしお、悪甚されおいるずいえよう。䜿甚者による嫌がらせでしかない。

 第1に、制裁的なシフトカットに぀いおも、本黒曞の41で述べたように、䌑業手圓が支払われるべきである。

 第2に、制裁的なシフトカットがパワヌハラスメントずしお行われおいるず刀断される堎合には、慰謝料の請求も行いうる。

パワヌハラスメントずは、職堎においお行われる優越的な関係を背景ずする蚀動で、圓該蚀動が業務䞊必芁か぀盞圓な範囲を超え、圓該蚀動によっお劎働者の就業環境が害されるものであるず定矩される。厚生劎働省はパワヌハラスメントの行為類型のなかに、「業務䞊の合理性がなく、胜力や経隓ずかけ離れた皋床の䜎い仕事を呜じるこずや䞎えないこず過小な芁求」を含めおいるが、管理者ずいう優越的関係を背景に気に食わないからずいう理由で行われるシフトカットは、ここに該圓する可胜性がある。

もっずも倧方の事案では嫌がらせずいう本音を隠すために、仕事ができない、業務呜什に埓わないなどもっずもらしく芋える理由でシフトカットを正圓化しおくるこずが倚いため、そのようなケヌスに察応するために日ごろから嫌がらせを録音・メモするなど、こために準備するこずが重芁である。

シフト制劎働者の倱業時生掻保障からの排陀

シフト制契玄の匊害は、雇甚保険ずの関係でも生じおいる。以䞋、青幎ナニオンの盞談者および組合員の事䟋から問題を取り䞊げ、シフト劎働者保護のためずるべき斜策を提案する。

① シフト削枛に䌎う雇甚保険脱退

事䟋①や事䟋④のように、䞀方的なシフト削枛により週劎働時間数が枛少したこずで雇甚保険を含む瀟䌚保険の適甚基準から倖れ、瀟䌚保険から脱退させられおしたうケヌスがある。たた䞀方的なシフトカットにより絊䞎が激枛するなか瀟䌚保険料を支払わなければならず、やむを埗ず自ら脱退する事䟋もある。こうした堎合、劎働者ずしおは、雇甚保険絊付や傷病手圓が利甚できなくなるなど、䞍利益が倧きい。

契玄曞や実態に即しおの所定劎働時間・所定劎働日を明確にし、それを実際の劎働時間・劎働日が䞋回る堎合には䌑業補償を䜿甚者に行わせるずずもに、瀟䌚保険の加入・未加入は、䜿甚者の意のたたにされおしたうシフトの珟状ではなく、就劎実態や契玄曞等に即しお明確化される所定劎働時間・所定劎働日に沿っお刀断されるべきだろう。

② シフトカットを理由ずした離職の扱い

事䟋①のように、シフト削枛に䌎う賃金䜎䞋を理由に離職した堎合に「自己郜合離職」ず刀断されおしたうこずがある。「自己郜合離職」ず刀断されるず、「䌚瀟郜合離職」ず比べお絊付日数・絊付額が抑制され、たた2か月間の絊付制限期間が課されおしたう。山䞋芳生議員の囜䌚質問に察しお、田村厚劎倧臣はシフトカットによっお離職した堎合、「特定理由離職者」ずしお絊付制限期間なく絊付されるように扱っおいるず答匁しおいる。確かに「特定理由離職者」の堎合絊付制限期間は課されないものの、絊付日数や絊付額は「自己郜合離職」ず同じく抑制され、新型コロナりむルス犍における絊付日数延長の特䟋措眮の察象にもならない。

 シフトカットを理由ずした離職者は、「䌚瀟郜合離職」ず刀断されるべきである。「䌚瀟郜合離職」ず刀断される基準が厚生劎働省によっお瀺されおいるが、その基準の1぀に「賃金が、圓該劎働者に支払われおいた賃金に比べお85未満に䜎䞋した又は䜎䞋するこずずなったため離職した者圓該劎働者が䜎䞋の事実に぀いお予芋し埗なかった堎合に限る。」特定受絊資栌者の範囲(4)、いわゆる賃金䜎䞋芁件ずいう項目がある。望たないシフトカットによっお離職した堎合には、この賃金䜎䞋芁件に圓おはめ、「䌚瀟郜合離職」ずみなすべきであろう。


第 政策提蚀線 

 これたでシフト制劎働者の実態ず、珟行の法埋・制床による救枈の䜙地・可胜性に぀いお怜蚎しおきた。しかし珟状ずしおはシフト制劎働の芏制は十分ずは蚀えず、新型コロナりむルス犍ではそうしたシフト制劎働の䞍安定が倧きく顕圚化した。シフト制芏制を圢成・発展させる必芁があるが、どのような課題があるのだろうか。

 第1に、珟行の法埋においおも、シフト制劎働者のシフトが出おいない期間に぀いお、それたでの劎働契玄曞・劎働条件通知曞の蚘茉や就劎実態に基づいお所定劎働時間・所定劎働日を確定するこずで、事業䞻の郜合による劎働時間の削枛に぀いお、法的な䌑業手圓支払い矩務を䜿甚者に課すこずは可胜である。しかし行政の抑制的な法解釈によっお、シフト制劎働者を雇う䜿甚者の䌑業手圓支払い矩務が認められづらくなっおいる。

第2に、行政の法解釈が倉曎され、実態に即しお所定劎働時間・所定劎働日を刀断するこずが可胜だずしおも、やはり劎働契玄曞や劎働条件通知曞で劎働時間を明確に確定しなければ、所定劎働時間・所定劎働日は䞍安定なものずなっおしたう。

第3に、劎働基準法第26条の䌑業手圓がより広範に適甚されるようになったずしおも、劎働基準法第26条で定められた䌑業手圓は「平均賃金の6割」であり、実際に支絊される䌑業手圓は通垞絊䞎の半分以䞋ずなっおしたう。これでは、䜎賃金のシフト制劎働者の生掻を守るこずはできない。

第4に、シフト制劎働者のなかに倚く含たれおいる短時間劎働者や孊生劎働者の倱業時生掻保障の問題がある。就業時間が週20時間未満の劎働者や孊生劎働者は雇甚保険から排陀されおおり、倱業時に生掻困難を抱えおしたう。

第5に、劎働時間が䜿甚者に郜合よく倉動されおしたうシフト制劎働者の生掻保障政策には、個別䌁業の䌑業補償矩務の厳栌化に加えお、䌁業暪断的な制床・機関によっお個別䌁業の郜合でのシフト調敎によっお発生する収入䜎䞋に補償を行うずいう方向性がありうる。

 以䞋では、この5぀の点に぀いお政策提蚀をしおいる。

䌑業手圓のシフト制劎働者ぞの適甚拡倧ず䌑業手圓の氎準改善

䌑業手圓のシフト制劎働者ぞの適甚拡倧

 珟圚の厚生劎働省の法解釈によれば、劎働契玄曞・劎働条件通知曞が存圚しない堎合やそこに劎働時間の蚘茉がない堎合はもちろん、劎働契玄曞・劎働条件通知曞に劎働時間の蚘茉があったずしおも、「シフトによっお倉動する可胜性がある」ずいった趣旚の文蚀が挿入されおいれば、就劎実態がどうであれ、シフトが確定しおいない期間に぀いお所定劎働時間・所定劎働日を確定するこずはできず、劎働基準法第26条の䌑業手圓支払い矩務を䜿甚者に課すこずが困難ずされる。シフト制劎働者は、シフトによっお劎働時間を0にされおも絊䞎補償を受け取る法的暩利がないずいうこずになりかねない。

 本黒曞の41にあるように、劎働契玄曞・劎働条件通知曞に劎働時間の蚘茉がない堎合や、劎働時間の蚘茉ず共に「シフトによる」などず蚀った文蚀が挿入されおいる堎合でも、そこから盎ちに、シフトが出おいない期間に぀いお所定劎働時間・所定劎働日は存圚しないず刀断するべきではなく、就劎実態や劎働契玄曞・劎働条件通知曞の劎働時間に぀いおの蚘茉などに基づいお、所定劎働時間・所定劎働日を確定すべきである。こうした察応は法埋の改正をせずずも、行政の法解釈を倉曎するこずで実斜可胜である。

厚劎省は早急に誀った法解釈を改め、劎働局や劎基眲等の関係機関に察し劎働契玄䞊の所定劎働日・劎働時間の特定を呚知・培底するなどしお、劎働基準法第26条をシフト制劎働者に広く適甚しおいくべきだろう。

最䜎シフト保障の制床化

倚くのシフト劎働者は、毎月あるいは毎週の劎働時間が倉動するこずが前提ずなっおしたっおいる。契玄曞䞊も「劎働時間はシフトによる」ずなっおいるこずが倚く、このこずにより、䌚瀟郜合の䌑業であっおも、シフトの倉動ず評䟡され、䌚瀟が䌑業ず認めず、補償が埗られない状況がコロナ犍で浮き圫りになった。たた、䌚瀟が事実䞊自由にシフトを倉動できるため、嫌がらせや制裁的なシフトカットも可胜ずなっおしたい、制裁を恐れお、シフト劎働者は理䞍尜な扱いに遭ったずしおも耐えお我慢しなければならず様々な暩利行䜿の劚げにもなっおいる。

このこずを解決するためには、シフト劎働者の劎働時間最䜎シフトの保蚌を䜿甚者にさせなければならない。最䜎シフトの保蚌をさせるこずで、シフトカットを無闇に行わせない、たた、最䜎シフトを䞋回った劎働時間になれば䜿甚者郜合の䌑業ずみなすこずが可胜ずなる。

 最䜎シフト保蚌を制床化する第の方法は、劎働基準法15条1項に「最䜎保障劎働時間」「最䜎保蚌賃金」を加えるずいう方法である。劎働基準法15条は、䜿甚者に察しお劎働者の劎働時間等の劎働条件の明瀺を矩務化するものだが、同法斜行芏則5条においお、具䜓的な明瀺内容を芏定しおいる。もっずも、劎働時間に぀いおは、「始業及び終業の時刻、所定劎働時間を超える劎働の有無、䌑憩時間、䌑日、䌑暇䞊びに劎働者を二組以䞊に分けお就業させる堎合における就業時点転換に関する事項」ずしか芏定されおおらず、週や月の劎働時間の明瀺芏定はない劎基法斜行芏則5条1項2号。この斜行芏則に「最䜎保障時間」や「最䜎保蚌賃金」の明瀺矩務を加えるこずで、最䜎シフト保障ずいう圢での芏制が可胜ずなる。それに加え、劎働基準法89条に就業芏則の芏定事項が掲げられおいるが、就業芏則にも「最䜎保障時間」や「最䜎保蚌賃金」の定めを蚘茉するよう劎働基準法89条の改正も必芁であろう。

その䞊で、ハロヌワヌクの求人祚においおも「最䜎保障時間」および「最䜎保蚌賃金」の蚘茉を培底させ、民間の求人においおも同様の蚘茉を培底させるよう厚劎省からの通達を出すずいう方法でシフト制劎働の芏制をするべきだ。

 第2の方法は、劎働組合ず䌁業あるいは業界団䜓ず最䜎シフト保蚌の劎働協玄を結ぶずいう方法である。シフト劎働者の劎働時間の運甚に぀いおは、䌁業ごずに異なっおいたり、孊生劎働者やパヌト劎働者などの劎働者局の違いもあるだろう。そのような堎合に、䌁業ごずに即した最䜎シフト保蚌制床を劎働協玄によっお芏定するこずは、より柔軟なシフト芏制に繋がるず考えられる。たた、業界ごずに劎働協玄を結ぶこずもより広範囲なシフト制劎働者芏制ずしお効果的である。飲食業界などは、劎働者の8割以䞊が非正芏劎働者ず蚀われおおり、そのほずんどがシフト劎働者ず考えられる。業界のルヌルずしお劎働組合ずの最䜎シフト保蚌の劎働協玄の締結を远及すべきであり、政府や行政なども劎働協玄の締結の埌抌しをすべきであろう。

 さらには、裁量劎働制や倉圢劎働時間制のように、シフト劎働制で劎働者を働かせる堎合には劎䜿協定の締結及び協定曞の劎働基準監督眲ぞの届出を矩務化するこずも、手続き䞊の芏制ずしお有効であり、劎働基準法の改正も怜蚎すべきだろう。

劎働基準法26条䌑業手圓・12条平均賃金の改正

 䌑業手圓の支払いがされおいるケヌスでも、支払われおいる䌑業手圓が通垞絊䞎の半分以䞋ずなっおいるなどで、「これでは生掻できない」ずいった盞談も寄せられおいる。劎働基準法26条で定められおいる䌑業手圓の最䜎基準が「平均賃金6割」ず非垞に䜎い氎準で蚭定されおいるためである。劎働基準監督眲などの行政の察応が改善され、劎働基準法26条を適甚させる範囲が拡倧した堎合でも、劎働基準法第26条の改正を䌎わなければ、支払われる䌑業手圓が安すぎるずいう問題は改善されず、劎働者の生掻を保障する仕組みずはならない。具䜓的には以䞋のような改正が必芁だろう。

 第1に、「平均賃金」の算定方法を定めおいる劎働基準法第12条の改正が必芁である。時絊で働くシフト制劎働者の堎合、平均賃金ずは、①盎近3ヶ月の賃金総額をその期間の総日数で陀した金額か、②盎近䞉箇月の賃金総額をその期間䞭の劎働日数で陀した金額の6割の、いずれか高い方を指すものであるずされる。②を採甚する堎合には、平均賃金そのものが通垞絊䞎の6割氎準ずなるこずが明癜だが、①が採甚される堎合でも、絊䞎総額を劎働日も䌑日も含めた「総日数」で陀し、それを䌑業手圓ずしおもずもず働く予定だった日すなわち劎働日に支払うため、必然的に数割枛ずなる。「平均賃金」を通垞絊䞎の数割枛ずしなければならない合理的な理由はなく、したがっお、平均賃金の算定方法を、「盎近数ヶ月の絊䞎総額を劎働日数で陀す」ものず改正すべきである。

 第2に、劎働基準法第26条では、「平均賃金の6割」が䌑業手圓の最䜎基準ずなっおいるが、仮に「平均賃金」の算定方法が䞊蚘のように改正されたずしおも、「6割」では䟝然ずしお絊䞎が倧幅に枛少する。劎働基準法第26条は、劎働者の生掻の安定を趣旚ずするものだが、通垞絊䞎6割氎準では、ずりわけ䜎賃金のシフト制劎働者が生掻するこずは困難である。したがっお、平均賃金の算定方法を䞊蚘のように改正するこずに加えお、䌑業手圓の最䜎基準を、少なくずも「平均賃金の8割」に改正すべきである。

雇甚保険制床の改善によるシフト制劎働者の倱業時・䌑業時の所埗保障の充実

1倱業時生掻保障の充実

コロナ犍においお、短時間劎働者が倧きな被害を受けおいる。補償なきシフトカットよっお事実䞊の倱業に远い蟌たれ、雇止めも増加しおいる。しかし、雇甚保険の適甚基準は劎働時間が週20時間以䞊でなければならず、それ以䞋の劎働者には倱業時に䜿える生掻保障制床がない。劎働時間が週20時間以䞋であっおも、その収入が生蚈維持にかかせなくなっおおり、非正芏収入の喪倱が生掻困窮に盎結しおいる。

そのため、シフト劎働者に配慮した短時間劎働者向けの雇甚保険が必芁である。劎働時間に関わらず党劎働者が加入可胜ずするか、少なくずも察象ずなる劎働時間を10時間以䞊に匕き䞋げるべきである。週20時間以䞊の条件を満たしおいおも、シフト制で劎働時間が倉動するこずから䌁業が雇甚保険に加入させない䟋も倚くあるが、短時間劎働者向けの雇甚保険創蚭によっお、党劎働者、もしくはほずんどの劎働者が雇甚保険の加入察象ずなれば、そうした問題も解決されるであろう。

たた自己郜合の堎合に蚭けられる絊付制限期間は、雇甚保険の利甚を抑制しおいる。䜎賃金・無貯蓄で働く非正芏劎働者の堎合、倱業時にすぐ絊付を受けられなければ、芏制のないシフト制のような䞍安定な仕事を遞ばざるを埗なくなる。したがっお、離職理由による絊付制限期間は取り払うべきである。

なお、孊生は原則雇甚保険に加入できないが、孊生も通垞の劎働者ずしお扱い、資栌がある堎合には雇甚保険に加入させるべきである。孊生は倱業しおも芪の支えがあるずいう考えのもず、雇甚保険の察象から陀倖されおいる。しかし、コロナ犍では、芪から経枈的に自立しお孊生生掻を送っおいた孊生が、バむト収入を倱っお生掻困窮に陥ったこずが瀟䌚問題ずなった。芪䞖代の収入䜎䞋や高孊費、奚孊金制床の䞍敎備が原因で、孊生も劎働者ずしお生掻のために働かなければならない状況にある。孊費の倧幅な削枛・無償化や絊付奚孊金制床の拡充によっお働かなくずも孊生生掻を送れるような条件を充実させる必芁があるこずは蚀うたでもないが、それに加えお倱業時の生掻保障ずしお孊生の雇甚保険加入を可胜ずすべきである。

2䌑業時生掻保障制床の創蚭・恒垞化

 珟圚のシフト制劎働者の所埗の䞍安定ぞの察応には、2぀の道がある。第1に、シフト制劎働者を雇っおいる個別䌁業に察しお、劎働者ぞの䌑業補償矩務をより厳栌に課すずいうものである。劎働基準法第26条に぀いおの行政解釈の倉曎やその氎準の匕き䞊げはこうした方向での察応を䌁図したものである。第2に、個別䌁業の柔軟なシフト制運甚によっお発生する所埗の喪倱・䞍安定に察しお、䌁業暪断的な産業別の機関・制床や囜によっお所埗補償をするずいう方向での察応がある。新型コロナりむルス犍では、シフト制劎働者の「補償なし䌑業」によっお発生する生掻困難ぞの察応ずしお、囜による盎接的な䌑業補償制床である「新型コロナりむルス感染症察応䌑業支揎金・絊付金通称「䌑業支揎金」」が創蚭されたが、これは囜による所埗保障制床である。

シフト制劎働者の所埗安定化のためには、個別䌁業の䌑業補償矩務の厳栌化か、産業別の制床・機関もしくは囜による所埗補償のいずれかの方向が取られなければならない。埌者の方向での察応は、「個別䌁業の䌑業補償矩務を免眪するものである」ずしおあくたで「緊急的なもの」ず䜍眮づけられおいる。しかし保険料や皎金ずいう圢で䌁業責任を間接的に課しながら、シフト制劎働者の生掻困難に瀟䌚的に察応する制床ずしお恒久的な䌑業支揎金制床を創蚭するずいう遞択肢は䜕らおかしなものではない。


おわりに 

 1990幎代埌半以降の非正芏劎働者の増加や、その䞭に倚くのシフト制劎働者を含んでいるず思われる短時間劎働者の増加は、劎働力を、䌁業が必芁な時にのみ賃金を払い䜿う商品に切り瞮め、その賌買によっお成り立぀劎働者の生掻ぞの䌁業責任を垌薄化する傟向を促進したず思われる。非正芏劎働者の䌑業補償をめぐる団䜓亀枉のなかでは「非正芏劎働者はこの䌁業だけで生掻を支えようずせずに副業しおくれ」ずあけすけに話す䌁業も少なくなかった。非正芏劎働の家蚈における重芁性が高たるなか、家蚈補助劎働論の残存に加えお、この間の劎働垂堎流動化による䌁業責任の垌薄化が、非正芏劎働の新型コロナりむルス犍の劎働者の生掻困難を生み出しおいたずいえるだろう。

新型コロナりむルスは、1990幎代埌半以降䞍安定化する雇甚の問題を顕圚化させたず同時に、䞍安定雇甚を芏制しおいく取り組みをも生み出した。シフト制劎働者の諞問題をめぐる各皮ナニオンの取り組みや政党・政府の察応である。こうした取り組みをさらに発展させ、シフト制劎働者の生掻・雇甚ぞの䌁業や瀟䌚の責任を匷化しおいくこずが必芁だ。本黒曞がそうした取り組みを埌抌しするものずなれば幞いであるし、銖郜圏青幎ナニオン及び顧問匁護団は、本黒曞の問題認識・提案に基づいた取り組みを今埌䞀局発展させおいく぀もりである。


付録1 シフト制劎働者に関連する裁刀䟋・事件 

1暪浜地裁什和2幎3月26日刀決

①事案

  蚪問看護デむサヌビス斜蚭の利甚者の送迎業務に埓事しおいた有期契玄劎働者原告が、週の所定劎働日数が5日であったにもかかわらず、䌚瀟被告の責めに垰すべき事由によりこれに満たない日数しか働くこずができなかったず䞻匵しお、未払い賃金を請求した事案である。

  劎働者の入瀟時の雇甚契玄曞・劎働条件通知曞には出勀日数ずしお「週5日皋床」「業務の状況に応じお週の出勀日を決める。」ずの蚘茉があり、その埌に䜜成された雇甚契玄曞・劎働条件通知曞には、出勀日の欄に「毎週月火氎朚金のうち週1日以䞊ずする なお、出勀日の決め方は事前のシフトによっお決める。」「業務の状況に応じお週の出勀日を決める。必芁がある堎合には、勀務日の倉曎をするこずがある。」ずの蚘茉があった。

  裁刀所は、この事案では、雇甚契玄曞・劎働条件通知曞の蚘茉だけで週の所定劎働日数を刀断せず、劎働者の勀務実態等の事情も螏たえお、劎働者・䌚瀟の意思の合理的解釈により刀断すべきだずた。

  そしお、刀決は、劎働者が実態ずしお抂ね4日勀務をしおいたずしお、所定就劎日数は週4日であるず認定した。

  たた、裁刀所は、劎働者の出勀日は、䌚瀟においお、斜蚭利甚者の送迎蚈画衚を䜜成するこずによっお決定され、劎働者を送迎蚈画衚に入れるかどうかは、䌚瀟の刀断に委ねられおいるずしたした。そのうえで、裁刀所は、劎働者の未払い賃金請求に関連しお、劎働者が就劎をしなかったこずは基本的には䌚瀟の責めに垰すべき事由によるものである民法536条2項ず刀断しお、未払い賃金請求を認めた。

②意矩

  本件は新型コロナりむルスによるシフト削枛の事案ではないが、䌚瀟の刀断によるシフト削枛ずいう点で共通しおいる。

  新型コロナりむルスの圱響により、䌚瀟がシフトカット等をする堎合でも、本件ず同様に、週の所定劎働日数に぀いお、雇甚契玄曞や劎働条件通知曞の蚘茉のほか、劎働者の就劎実態等に基づき、実態に即しお刀断するものず考えられる。

  たた、本刀決は、劎働者が平均賃金の6割である䌑業手圓劎基法26条ではなく、未払い賃金の党額民法536条2項を請求し、裁刀所がこの請求を認めたずいう点にも特城がある。本件では、「送迎蚈画衚」を䜜成するのは䌚瀟であり、それにより劎働者の出勀日が決定しおいたず認定したが、「シフト」に぀いおも同様の考え方ずなるだろう。

  シフトカット等の刀断をするのは、䌚瀟であるから、シフト劎働者が、本人の同意なくシフトカットやれロシフトずされた堎合には、民法536条2項により枛少した賃金の党額を請求するこずが可胜ず考えられる。

2倧阪地裁係属䞭

①事案

  本件は、緊急事態宣蚀以降、シフトを䞀方的に週3日から週1日に枛らされたパヌト瀟員原告が、䌚瀟被告が正瀟員に10割の䌑業補償を支絊する䞀方で、パヌト瀟員には䌑業補償が党くなされなかったこずから、劎働契玄䞊の勀務日数が週3日であるこずの確認及び枛らされたシフト分の未払い賃金の支払いを求めお、倧阪地裁に提蚎した事案である。

  劎働者は、数幎前から倧阪府のりェディングフォトスタゞオでパヌト瀟員ずしお勀務しおいた。雇甚契玄曞には勀務日数ずしお「シフト制週3日、月13日前埌」ず蚘茉され、実際にも入瀟以来、週3日で就劎しおきた。

2020幎4月7日の緊急事態宣蚀を受けお、䌚瀟は、党店舗の䌑業を決定し、原告を含むすべおの埓業員に䞀斉䌑業を求めた。

  原告は、䌚瀟に䌑業補償を求めたが、䌚瀟はすでにシフトが出おいる同幎4月分に぀いおは10割の賃金を支払ったものの、同幎5月分に぀いおは、正瀟員に10割の賃金を支払う䞀方で、原告らパヌト瀟員には、䞀埋で週1日分の賃金しか支払わなかった。

  たた、䌚瀟は、同幎6月に業務を再開しお以降は、正瀟員に぀いおは通垞の出勀日の半分ないし3分の1のみの出勀を呜じ、原告らパヌト瀟員には週1日の勀務のみ呜じた。そしお、正瀟員に぀いおは、䌑業した日に぀いお10割の賃金を支払う䞀方で、パヌト瀟員に぀いおは実際に勀務した日の分しか支払わず、シフトを枛らされた日に぀いおの賃金補償を党く行わなかった。

  さらに、䌚瀟は、原告らパヌト瀟員に察し、勀務日数を週1日ずする契玄内容に倉曎するこずに同意する同意曞にサむンをするように迫った。

②意矩

  本件は、コロナに乗じた䞀方的な補償なきシフト削枛の事案である。コロナ犍でのシフト劎働者に察するシフトカットに぀いお、蚎蚟の提起に至った初めおの事䟋ず思われる。民法536条2項あるいは劎基法26条による未払い賃金の支払矩務ずずもに、非正芏劎働者に察する差別も争点ずなり埗る事案であり、その刀断が泚目される。



付録2 民法536条2項及び劎働基準法第26条の「䜿甚者の責めに垰すべき事由」の範囲に぀いお 

1賃金及び䌑業手圓に関する法的芏制

①賃金

劎働者は䜿甚者に察し、劎務を提䟛する矩務を負う反面、賃金の支払いを求める暩利を有しおいる。では、劎務を提䟛する矩務を履行しなかった堎合、圓然に賃金の支払いを受けられないかずいうず、そういうわけではない。民法第条項本文は次の通り定めおいる。

「債暩者の責めに垰すべき事由によっお債務を履行するこずができなくなったずきは、債暩者は反察絊付の履行を拒むこずができない。」

これは、劎働契玄に即しお説明すれば、䜿甚者の「責めに垰すべき事由によっお」、劎働者が劎務を提䟛する債務の履行こずができなくなったずきは、䜿甚者は賃金反察絊付を支払うこずを拒むこずができないずいう意味である。

「責めに垰すべき事由」ずは、「故意、過倱、たたは信矩則䞊これず同芖すべき事由」ずされおいる。

「故意、過倱、たたは信矩則䞊これず同芖すべき事由」ずいうず、難しい衚珟であるが、䜿甚者が意図的に、もしくは䜿甚者のミスによっお、劎働者が劎務の提䟛ができなくなった堎合ずいう皋床の意味である。

䞀般的には、劎務の提䟛ができなくなった原因が、①倖郚の事情に起因しおおり、か぀、②それを防止するこずが䜿甚者に䞍可胜である堎合には、䜿甚者の「故意、過倱、たたは信矩則䞊これず同芖すべき事由」には圓たらないずされる。このように、䜿甚者の「故意、過倱、たたは信矩則䞊これず同芖すべき事由」によっお劎務の提䟛ができなくなった堎合、劎働者は、賃金の党額を䜿甚者に請求するこずができる。

②䌑業手圓

さらに、劎働基準法第条は次の通り定めおいる。

「䜿甚者の責に垰すべき事由による䌑業の堎合においおは、䜿甚者は、䌑業期間䞭圓該劎働者に、その平均賃金の癟分の六十以䞊の手圓を支払わなければならない。」

たた、この芏定に違反するず眰則30䞇円以䞋の眰金が科せられる可胜性がある劎基法第条号。

ここでも、「䜿甚者の責めに垰すべき事由」ずの衚珟が出おくるが、これは先ほどの民法第536条第2項本文の「責めに垰すべき事由」よりも広く、民法䞊は䜿甚者の垰責事由にならない経営䞊の障害も、倩倉地異などの䞍可抗力に因らない限りは、劎基法第26条の「責めに垰すべき事由」に含たれるず解釈されおいる。

この䞍可抗力ずは、先ほどの民法の解釈ず察比しお説明すれば、劎務の提䟛ができなくなった原因が、①倖郚の事情に起因しおおり、か぀、②それを防止するこずが䜿甚者に䞍可胜である堎合であっおも、③その原因が䜿甚者の支配領域に近いずころから発生し、䜿甚者の平均賃金のの支払いをさせたほうが良いずいう堎合には、䞍可抗力には圓たらないずされる。

劎働基準法第条は、䞍可抗力の堎合を陀き、䜿甚者に平均賃金の以䞊の手圓おを支払う矩務を負わせお、劎働者の最䜎限床の生掻の保障を図る趣旚である。

2債暩者・䜿甚者の責めに垰すべき事由の具䜓䟋

䜿甚者の責めに垰すべき事由の意味は䞊蚘の通りである。この刀断は、具䜓的な事案に応じ、皮々の事情を総合的に考慮しお刀断されるため、䞀抂に「責めに垰すべき事由」に該圓するか吊かを説明するこずは困難である。ずはいえ、裁刀䟋や厚生劎働省の通達等で䞀定の刀断がなされおいるため、参考ずなる䟋はある。䞀䟋を挙げるず次の通りである。

䟋えば、機械の怜査、原料の䞍足、監督官庁の勧告による操業停止、流通機構の䞍円滑による資材入手困難、芪䌚瀟の経営難のための資金・資材の獲埗困難などは、劎基法第26条の「䜿甚者の責めに垰すべき事由」に該圓するず解釈されおいる。

ただし、これらの堎合も、事案によっおは、民法第536条第2項の「責めに垰すべき事由」に該圓する堎合もあるず思われる。

本黒曞の事䟋で倚数挙げられた、コロナりむルスを原因ずしお䌑業や営業時間短瞮をし、その結果、シフトが枛少されたなどの堎合に぀いおは、原則ずしお、民法第536条第2項や劎基法第26条の「責めに垰すべき事由」に該圓する堎合が倚いであろう。

䟋えば、

A 緊急事態宣蚀やたん延防止等重点措眮が発出されおいない堎合や、緊急事態宣蚀やたん延防止等重点措眮が発出された地域であったずしおも、圓該事業所にこれらに基づく䌑業芁請や時短芁請、䌑業呜什、時短呜什などが発出されおいない堎合、䌑業や営業時間短瞮は、経営者の自䞻的な経営刀断にずどたり、民法第536条第2項の「債暩者の責めに垰すべき事由」があるず思われる。よっお、賃金の党額を請求できる。

B圓該事業所に、緊急事態宣蚀やたん延防止等重点措眮に基づく䌑業芁請や時短芁請が発出された堎合でも、あくたで芁請にずどたるから、䌑業や営業時間短瞮は、経営者の自䞻的な経営刀断にずどたり、民法第536条第2項の「債暩者の責めに垰すべき事由」があるず思われる。たた、䌑業や営業時間短瞮をした堎合でも、業皮によっおは、䌑業は必芁なく、テレワヌクなどによっお業務を行うこずが可胜であり、それにもかかわらずテレワヌクなどを行わず、シフトの枛少等を行う堎合には、民法第536条第2項の「債暩者の責めに垰すべき事由」があるず思われ、賃金党額の請求が可胜ずなる。

C 圓該事業所に、緊急事態宣蚀やたん延防止等重点措眮に基づく䌑業呜什や時短呜什が発出された堎合、これらの呜什に反するず過料の制裁が科されるこずから、これに基づく䌑業や営業時間短瞮は、民法536条第2項や劎基法26条が定める「䜿甚者の責めに垰すべき事由」に盎ちに該圓するずは評䟡できないず思われる。ただし、この堎合でも、業皮によっお、䌑業を必芁ずしない事業である堎合や、テレワヌクなどで業務可胜な堎合は、「䜿甚者の責めに垰すべき事由」に該圓するず思われ、少なくずも、劎働者は賃金のの䌑業手圓を請求する暩利を有する。

 䞀般論ずしおは、䞊蚘ABC蚘茉の解釈があり埗るが、いただ裁刀䟋は蓄積されおおらず、たた、コロナりむルス犍により事業者をめぐる状況も倚皮倚様であるため、ABに぀いお、民法536条第2項に定める「責めに垰すべき事由」は認められないが、劎基法第26条が定める「責めに垰すべき事由」は該圓するずいう堎合や、いずれに぀いおも、䞍可抗力に圓たるず刀断されるような堎合もあり埗る。

したがっお、具䜓的に問題に盎面しおいる劎働者の皆様は、お近くの劎働組合や匁護士に盞談するこずをお勧めする。



最新蚘事

すべお衚瀺

日本語教垫の蚎蚟の和解が成立

圓組合が関䞎しおおりたした、語孊教育を行っおいる䌚瀟東京郜枋谷区ず組合員日本語教垫の劎䜿玛争に぀いお、組合員が劎働者性等をめぐっお䌚瀟を提蚎し、裁刀を行っおおりたした。1幎半の審議を経お、この床、裁刀所からの和解の勧めを受け、本人の玍埗いく圢での和解が成立したしたので報告いたしたす。ご支揎をありがずうございたした。

TCL瀟パワハラ・䌑職期間満了雇甚打切り事件の東京地裁刀決を歓迎するずずもにTCL瀟に察し控蚎断念ず速やかな謝眪及び党䜓解決を求める声明

TCL瀟パワハラ・䌑職期間満了雇甚打切り事件の東京地裁刀決を歓迎するずずもにTCL瀟に察し控蚎断念ず速やかな謝眪及び党䜓解決を求める声明 幎月日 東京公務公共䞀般劎働組合青幎䞀般支郚銖郜圏青幎ナニオン 同ナニオン顧問匁護団 幎月日、東京地裁民事第郚(小原䞀人裁刀長ほか)は、TCL瀟パワハラ・䌑職期間満了雇甚打切り事件(以䞋、「本件」ずいう。)においお、刀決

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