top of page

【活動報告】埼玉県朝霞市生活保護行政の問題VOL.1――障害のある人と生活保護シリーズ

  • 56 分前
  • 読了時間: 6分

1.はじめに


チャレンジドユニオンでは、障がいのある人の生活保護の問題にも取り組んでいます。


現在の過酷な労働環境では、一般就労で働いたものの長時間労働やハラスメントを受けるなどして精神疾患を発症、働けなくなり退職するという事態が頻繁に発生しています。


このような相談は労働相談全体でも大きな比率を占め、チャレンジドユニオンにも同様の経歴をもつ組合員が多数所属しています。


また賃金水準の低さから、こうして退職した組合員には貯蓄もほとんどなく、働けなくなってすぐに生活保護申請基準の貧困状態に陥いることもまったく珍しくありません。


さらには現在の障がい者雇用の多くが最低賃金レベルの賃金であることから、障がい者雇用で働く組合員の多くは、生活保護法で定められた最低生活費以下の収入しか得られていません。


こういった現状から、チャレンジドユニオンでは生活保護は障がいのある人・障がいのある労働者の問題でもあると考え、労働環境の改善・賃金上昇といった労働問題(たとえば合理的配慮の正確な理解や確実な実施を求める、一般就労と比較して不当に抑えられた障がい者雇用の賃金を一般就労と同等にするよう求める)だけでなく、生活保護制度をはじめとした生活保障制度の問題にも取り組んでいます。


今回の記事ではその一環として、埼玉県朝霞市に居住する当該組合員とチャレンジドユニオンの活動を紹介します。



2.埼玉県朝霞市の生活保護行政の問題


埼玉県朝霞市に居住している当該組合員がチャレンジドユニオンの支援を受けながら生活保護を申請したところ、以下の不当なあつかいを受けました。



2-1.扶養照会拒否を受け付けない


生活保護を申請した際、扶養紹介という手続きがとられます。


申請者の親族に、申請者が生活保護を申請するほど困窮していることを伝え、申請者を援助できないかを尋ねるものです。


この手続きが一般的に「扶養照会」と呼ばれています。


しかし扶養照会は、生活保護を申請すれば必ず申請者の親族全員に行われるものではありません。あくまで該当の親族が「扶養義務履行が期待できる者」であった場合のみ行われます。


では扶養照会の対象にならない、「扶養義務履行が期待できない者」とはどのようなケースを指すのでしょうか。厚生労働省は三つの類型をあげています。(以下は、令和3年2月26日 厚生労働省社会・援護局保護課より各生活保護担当課宛て「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」にもとづきます)


①施設入所者、長期入院患者、専業主婦・主夫、未成年者、概ね70歳以上の高齢者


②申請者と著しい関係不良にある者(たとえば借金をしている、相続をめぐり対立している、一定期間(10年程度)音信不通の状態にある、など)


③DV加害者など、扶養照会し申請者の現在地などが知られた場合、申請者が危険にさらされる可能性が高い者。


そして①~③の類型に完全に合致しなくても、類型と同等のケースであれば扶養照会は行わなくてよいとされています。


しかし今回の朝霞市のケースでは、当該組合員が


「家族にはすでに借金を重ねていて、これ以上は援助できないと言われている」


「両親は健在だが、幼少期から親の機嫌を損ねると家をしめだされるなどの虐待を受けており、連絡をとることは非常な苦痛をともなう」


とフラッシュバックなどトラウマ反応に苦しみながら市職員に訴えたにも関わらず、市は扶養照会を決定し、扶養照会を行わなければ生活保護は受給できないと主張しました。


当該組合員およびチャレンジドユニオンは前述の三類型を根拠に扶養照会決定の撤回を要求しましたが、朝霞市福祉事務所は「明確な身体的虐待(DV)はなく音信不通期間が10年未満なので、扶養照会は行う」と譲らず、資産が尽きた当該組合員はやむなく了承し、非常な苦痛をこうむりました。


これは「上記1~3の類型はあくまで例示であり、直接当てはまらない場合においても、これらの例示と同等のものと判断できる場合」扶養照会を行わないとしている通告に反する、恣意的な対応です。



2-2.可否通知の14日期限を守らない


生活保護は申請すると、申請して14日以内に受給できる・できないの可否通知を郵送することが法律で定められています。


しかし朝霞市ではこの14日期限ルールが形骸化しています。当該組合員は申請時に必要な書類をそろえ虚偽のない申告を行ったにもかかわらず、14日以内に可否通知が送られてくることはありませんでした。


組合員が市に問い合わせたところ「30日以内には送る」との返答がありました。これは可否通知についての法律の「ただし、扶養義務者の資産及び収入の状況の調査に日時を要する場合その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる」という条項を盾にとった対応です。(生活保護法第24条第5項目)


しかし非常に協力的な申請をした当該組合員でも14日以内の期限が守られなかったこと、またケースワーカーの説明内容や説明態度から、チャレンジドユニオンでは朝霞市では14日以内の期限が守られず、30日以内の期限さえ守ればよいという恣意的な法解釈に基づく慣習が横行していると目しています。


最終的に当該組合員の可否通知は申請から約3週間たってから郵送されてきました。生活保護費の初回支給はさらに約1週間後であり、申請から初回支給まで4週間近くかかった計算になります。


生活保護の支給にこれほど長い時間がかかること、そしてそれが行政で当然視されることは、生存権を保障する生活保護の趣旨に反します。


生活保護申請者が喫緊で生活資金が足りない場合は、福祉協議会の生活福祉資金貸付制度、またすでに住居を喪失している場合は臨時特例つなぎ資金貸付制度の利用を推奨されます。


しかしそもそも生活保護費の支給が迅速であるべきであり、また生活保護申請時の厳しすぎる資産基準が是正されるべきであるとチャレンジドユニオンは考えます。


この他にも、朝霞市では当該組合員のもとに他の生活保護受給者の書類が混入した封筒を郵送するなど、杜撰な生活保護行政が行われています。



3.おわりに


最低限度の生活、生存権を保障する生活保護行政が、このように申請者の尊厳を無視し杜撰な運用をすることは許されません。生存権、健康的に文化的に生きている・生きていくことを保障する生活保護制度と行政は、すべての国民が安心して身を任せられる受け皿であるべきです。


チャレンジドユニオンは障がいのある人・障がいのある労働者が安心して休み、治療し、働ける範囲で働ける、障がいに関わらず安心して社会の一員でいられるために、生活保護行政の改善を要求しています。

コメント


unionlogo-kihon2.png
〒170-0005

東京都豊島区南大塚2-33-10

東京労働会館5F 公共一般労組内

E-mail union@seinen-u.org

TEL 03-5395-5359

「首都圏青年ユニオンを支える会」に入会しませんか?

低所得労働者を組合員とするため組合費収入が不十分になりがちな青年ユニオンは「支える会」からの財政支援に支えられています。「青年ユニオンの活動を応援したい」という方、ぜひ入会をご検討下さい。会費は1口年間6000円です。

©首都圏青年ユニオン All Rights Reserved

bottom of page