【株式会社エム・シー・ケー解雇争議】求人・内定時の条件と、実際の雇用契約が違ったとき
- 4月27日
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1.株式会社エム・シー・ケーと団体交渉中
現在、当組合は株式会社エム・シー・ケーと団体交渉中です。本件の組合員である私は、今年1月に本採用取消、実質的には解雇を通告されたことから、首都圏青年ユニオンに相談・加入しました。
会社が主張する解雇理由は、能力不足、雇用契約書の未提出、会社の信用毀損のおそれ等です。
しかし、本件で重要なのは、単に「能力が足りなかったのか」という問題ではありません。求人票や内定確認書に記載された労働条件と、入社後に提示された雇用契約書の内容との間に大きな齟齬があったことです。
今回は、団体交渉で問題となっている論点のうち、特に「求人・内定時の条件と実際の雇用契約内容が違っていた」という点を取り上げます。
2.求人票・内定確認書では「営業課長」だった
私は、求人票や内定確認書の内容を前提に入社を決めました。
求人では管理職としての採用が示され、内定確認書にも「営業課長」と記載されていました。年収も一定水準で示され、試用期間中も本採用時と同じ労働条件とされていました。
転職において、役職、年収、待遇は単なる参考情報ではありません。家族の生活、将来設計、他社の選考を断るかどうかにも関わる、極めて重要な判断材料です。
私も、その条件を前提に、株式会社エム・シー・ケーを通じて社会に貢献したい、自分の経験を活かしたいと考え、入社を決めました。
3.入社後に提示された雇用契約書では、条件が変わっていた
ところが、入社後に違和感が生まれます。
会社側は、後になって「営業課長と書いたのは間違い」と説明しました。さらに、提示された雇用契約書には、営業課長としての職位の記載がなく、試用期間後に待遇が変わり得る内容も含まれていました。
つまり、求人票や内定確認書では「営業課長」「試用期間中も同条件」と示されていたにもかかわらず、実際に提示された雇用契約書では、職位や待遇変更の可能性について異なる内容になっていたのです。
重要なのは、これは単なる言い間違いや説明不足ではないということです。求人票、内定確認書、雇用契約書という複数の文書の間で、労働条件の前提が変わっていることが問題なのです。
4.それでも会社に合わせようとした
私は、この違和感を抱えながらも、すぐに会社を見切ったわけではありませんでした。
役職が営業課長から職位なしになること自体についても、給与が維持されるのであれば、現実に合わせて受け入れる覚悟をしていました。また、早く戦力化できるように、顧客同行、見積作成の補助、業務習得の機会などを求め、会社に合わせて努力しようとしていました。
つまり、最初から会社に反抗していたわけではありません。むしろ、提示された条件と現実に齟齬がある中でも、何とか会社に貢献しようとしていたのです。
しかし会社側は、その努力に応える方向ではなく、さらに不利益変更の入口となる条項まで含んだ雇用契約書への署名を求めました。
5.当然の確認が「契約書不提出」とされた
私は、内定時の条件と雇用契約書の内容が違うことについて確認し、少なくとも不利益変更につながる条項の削除や修正を求めました。
これは、労働者として当然の確認です。採用時に示された条件と違う契約書を提示されたときに、「この内容で本当に合っていますか」と確認することは、拒否でも反抗でもありません。
ところが会社は、条件付きで提出された契約書を正式な提出として扱わず、会社所定のフォーマットに無条件で署名押印するよう求めました。そして最終的には、その雇用契約書に無条件で署名しなかったことを、解雇理由の一つとして主張してきました。
ここで問題なのは、本件が単なる「雇用契約書不提出」の問題ではないことです。採用時の条件と異なる契約書を提示し、その内容について確認・修正を求めた労働者に対して、会社が無条件署名を求め、それに応じないことを問題化したという構造があります。
6.記録があったから、構造が見えた
この問題を整理するうえで重要だったのが、記録です。
求人票、内定確認書、雇用契約書、名刺、面談での発言、団体交渉での会社側説明。これらを並べることで、次の流れが見えてきました。
・求人票と内定確認書では管理職、営業課長として示されていたこと・入社後に「営業課長は間違い」と説明されたこと・提示された雇用契約書には職位の記載がなかったこと・試用期間後の待遇変更可能性が示されていたこと・条件の整合を求めたところ、無条件署名を求められたこと・その後、契約書未提出が解雇理由の一つとされたこと
こうして記録を並べると、問題は単なる「能力不足」ではなくなります。採用時の表示、実際の契約内容、評価の前提、解雇理由の整合性が問われる問題として見えてきます。
7.求人・内定時の条件と実際が違うことは、よくある相談
求人や内定時に示された条件と、実際の労働条件が違うという相談は少なくありません。
たとえば、
・正社員求人だったのに、試用期間中は契約社員扱いだった・求人票の賃金と実際の賃金が違った・管理職採用と聞いていたのに、入社後は一般職扱いだった・試用期間後に給与を下げると言われた
といった相談があります。
職業安定法第5条の4では、求人等における労働条件の明示について、虚偽または誤解を生じさせる表示をしてはならないとされています。求人票や内定時の条件と実際の労働条件が違う場合、それは単なる「話が違う」という不満にとどまらず、法的にも問題となり得ます。
求人メディアや紹介会社を通じた求人であっても、表示された条件と実態が異なる場合には、記録を残し、違法性を主張していくことが重要です。
8.自分のせいだと考えないでほしい
こうしたトラブルに直面すると、労働者はつい「自分が悪かったのかもしれない」と考えてしまいます。
もっと頑張ればよかったのではないか。もっと我慢すればよかったのではないか。最初から入社しなければよかったのではないか。
しかし、求人や内定時に示された条件と、実際の契約内容が違っていたのであれば、それは労働者個人の努力だけで解決できる問題ではありません。
「話が違う」と感じたとき、その違和感は問題の入口である可能性があります。
だからこそ、求人に応募する段階から記録を残すことが大切です。求人票、内定通知書、内定確認書、雇用契約書、メール、面談メモ、録音。これらは、後になって自分を守る重要な材料になります。
9.一人で抱え込まず、ユニオンへ
私にとって大きかったのは、一人で抱え込まなかったことです。
泣き寝入りするのではなく、ユニオンに相談し、個人ではなく組織として会社と向き合うことができました。そのことで、違和感は単なる不満ではなく、整理可能な労働問題として扱えるようになりました。
ユニオンに相談する意味は、誰かに代わって怒ってもらうことだけではありません。記録を整理し、問題の構造を言葉にし、個人では押し返しにくい場面でも、組織として向き合えるようになることです。
もし今、「求人と実際が違う」「内定時の条件と雇用契約書が違う」「試用期間だから仕方ないと言われている」と感じている人がいるなら、その違和感をそのままにしないでください。
記録を取り、一人で抱え込まず、ユニオンに相談してください。
整理していくことで、見えてくるものがあります。



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