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!当該組合員は年収65万円以上の賃下げ!【団交報告】第2回プラダジャパン団体交渉-賃上げ・人手不足等の要求にすべてゼロ回答-

  • 20 時間前
  • 読了時間: 7分

 3月31日に、昨年7月から団体交渉をしているプラダジャパンとの団体交渉があったためご報告します。当該組合員は障害者雇用の正社員で、当初は年次賞与の不支給と月次インセンティブの引下げにより年収が65万円以上も減ることを実質的な賃下げとして交渉を始めました。当該組合員は店舗で在庫管理の職務についており、障害者雇用枠ですが、一般雇用の同じ職種の正社員との待遇差はありません。一見障害のある労働者も平等な“優良企業”(皮肉です)のようですが、実際には、本社勤務と店舗勤務の正社員で待遇差があり、中でも在庫管理の職種の待遇は低くされています。加えて障害者雇用枠の正社員は当該組合員以外に本社や店舗にはおらず、全障害者雇用枠の従業員をコーヒー豆の焙煎所で実務を委託して有期雇用の契約社員として雇用している可能性さえあります(今後要調査)。そのため、属性による差別はないように見えても、勤務地や職種によって明確な待遇差をつけ、特定の職種に障害者や移民労働者などの社会的マイノリティーを集めて雇用する差別的な労務慣行が行われていることがうかがわれます。


-団交内容

 当日は組合員に参加支援を呼びかけ、全9名で参加しました。支える会の方がプラダのバッグを持参して、最初の自己紹介で「お気に入りのプラダのバッグを持ってきた。お気に入りだからその会社が労働者にひどいことはしていてほしくないと思って今日は来た」と発言してくださり、会社側も思わず「おー」と声を漏らして、比較的和やかな雰囲気で始まりました。

 今回は2回目の団体交渉で、メイン要求は賃上げでした。労働条件に関しては、基本給の引上げに加え、手当額の増額、昇給、賞与支給を求め、労働環境に関しては人手不足の解消や有給休暇の取得しやすい環境整備を求めました。

 プラダジャパンと聞いて、ラグジュアリーグローバルブランドだし、賃金も割と高いんじゃないかと想像する方が多いと思いますが、当該組合員の基本給はなんと221,970円....。しかも当該組合員は勤続18年目です。そもそも基本給が低いのに加え、当初の契約書の基本給は193,600円だったため、その頃からたったの約28,000円しか賃金が上がっていません。


 基本給のほかに約46,000円の販売専門職手当というものが毎月支給されますが、これは25時間分のみなし残業代です。また、店舗の従業員には毎月インセンティブが支給されますが、これは店舗の売上に左右されるため、0円のときも少なくなく、しかも、当該組合員のような在庫管理の職種だと、売り上げへの貢献も直接的な形でできず、販売員の頑張りに在庫管理の従業員のインセンティブも左右されるという何ともモチベーションを下げる制度設計になっています。

 人手不足に関しても、現在当該組合員が勤務している店舗で、2012年の人員配置数が平均で11名だったのに対し、売り上げが9370万円でしたが、2023年度では7名に対して3億9492万円と、完全に人員配置数と売り上げが反比例しており、これで賃金も上がっていればいいものの、それもないため、売り上げが従業員に対して還元されていないことが明白です。

 賞与に関しては、年次賞与がこれまたオフィス従業員のみが支給対象とされており、店舗従業員はインセンティブのみの支給です。


-会社回答

 ➀基本給は、単に低いという話だけでなく、会社の求人情報に載っている店舗従業員の基本給額の方が当該組合員よりも12,000円以上も高くなっているため、経験や習熟度を踏まえると説明がつかないと主張し、最賃の引上げ率と同率で引き上げるよう求めました。しかし会社は、求人内容はあくまで将来採用予定者に対して提示されているもので、業務内容、職責、店舗特性、採用市場における受給状況等を踏まえて個別に決定するため、在職中の従業員と比較するのは適切ではなく、在職中の従業員の給与を上げる義務を課すものでもないと回答しました。この説明をもっても、やはり18年目の当該組合員と1年目の従業員の待遇が逆転するのは全く説明がつかず、正直賃上げをしないための屁理屈にしか聞こえません。


 ➁昇給に関して、要求書でユニオンが当該組合員が直近の人事面談で上司から非常に高い評価を受けていたにもかかわらずそれが昇給に反映されていないことを主張したのに対して、会社は回答書で「人事評価の面談で高い評価を受けていたと主張されているようですが、そのような事実はない」と反論しました。

 しかし、当然ユニオンは何の根拠もなく高い評価を受けた事実をでっちあげたわけではないため、団交内で実際に上司に面談内でどのようなことを言われたのか会社に伝えると、会社は唖然とし、明確な反論もできずじまいで、むしろ会社の方が高い評価を受けた事実はないという反論を適当な根拠もなくつくり上げていたことが判明しました。回答書における会社からの組合員自身の勤務実績に対する酷評は、事実か否かに関わらず、一般に組合員は真に受けるのが自然で、大きな精神的打撃を与えるものです。会社にそのような意図があったかどうかまでは把握が不可能ですが(表向きには会社は必ず否定するので)、どちらにせよ十分な根拠もなく作成された回答書ならびに団交内でも回答できないという事実は、会社の交渉に対する不誠実な姿勢を露呈するものです。


 ➂人手不足と有給休暇に関しては、これまた交渉態度として不誠実と言わざるを得ないような回答が続きました。

 ユニオンが出した、売り上げと人員配置数の反比例の事実をもってしても、会社の回答は当該組合員の働く店舗の「人手は足りている」に終始し、さらには、各店舗の人員配置はイタリア本社の方針によって決まるため、プラダジャパン(プラダ日本本社)だけで変更できるものではなく、したがって要求には応えられない言うのです。どんな乱暴な順接だよと思いますが、ただ人事部もイタリア本社には日本本社に予算をつけてくれというお願いはしているようで、疑いながら尋ねたところ「すごくしてますよ」と半ば怒り口調で言われました。さて、日本本社もイタリア本社と従業員(ユニオン)との間で板挟みなのは理解できましたが、青年ユニオンはだからといって引き下がるような労働組合ではありません。本当に怒りたくなるほどの努力をしているのであれば、その状況を適宜従業員に説明すべきですし、「だからできないんだ」ではなく、「だから一緒にたたかってくれないか」と言うのが筋じゃないでしょうか。人事部の団交担当者だって広く見れば労働者なのであって、当該組合員との待遇差は相当あることが予想されるにしろ、イタリア本社の決定に翻弄されている点では同じ仲間と見ることもできるはずです。

 もっとも、有給休暇に対する回答で、結局は労働環境の改善なんて会社にとって後回しなのだということが分かります。当該組合員は有給休暇が取れており、これは会社が当該組合員が精神障害者であることをもって合理的配慮の一部として他従業員よりも取得しやすくしている可能性があります。ただ、有給休暇は労働者一般に認められた権利にすぎず、“配慮”によって与えるエクストラな優しさではありません。しかしながら、会社は義務的団交事項は組合員の労働条件のみの認識なので、他の従業員が有給休暇を取れていない現状や体調不良で取得する際には診断書等の通院記録を出せとマネージャーに言われている現状に対して改めて周知や取得の促進をする必要はないと言い切っています。

 確かに厳密にいえば、当該組合員は取れているんだからいいだろという主張も、最低限の法的な誠実交渉義務は果たしていると言えるのかもしれません。しかし、プラダジャパンは地方の家族経営の中小零細企業ではありません。全世界に展開するグローバルなラグジュアリーブランド企業です。従業員の賃金や待遇は、その顧客が買うバッグやアクセサリーの何%くらいでしょうか。

 結局経営陣は、賞与も出ない、20万円弱の毎月の自身の給料では何年貯金しても到底買えないような額の品物を、笑顔で宣伝し、レジを打つ瞬間の従業員の気持ちなんて、これっぽっちも考えていないのでしょう。


-今後

 昇給の結果が4月の面談で伝えられるという回答を得たため、その結果次第ですぐに第3回目の団交を予定しています。5月1日、皮肉にもメーデーの日に、映画「プラダを着た悪魔 2」が日本で公開開始されるようです。みなさん、きらびやかな世界の中で長時間低賃金で働く労働者にも目を向けてください。


-プラダジャパンで働いている方へ

 同様のお困りごとがある方は、プラダジャパンで働く方向けの従業員アンケートを実施しています。下記のリンクからぜひご回答ください。

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